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ピ・ア・ス
第二章

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「化膿することもあるのよ」
「だからですか」
「お医者さんに止められたの」
「もうピアスをしたらいけないって、ですか」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「ピアスは止めたの」
「そうなんですか」
「傷が治ってもピアスはね」
「もうされないですか」
「そうするわ、化膿して結構嫌なことになったから」
 だからだというのだ。
「もうしないわ」
「似合ってたんですが」
「私も好きだったけれど」
 それでもというのだ。
「そんなことになったからね」
「もうですか」
「しないわ」
 こう言って先輩はピアスをしなくなった、すると先輩の耳は飾りっ気のない寂しいものになってしまった。
 私はこれでまたピアスをしなかった、けれどこの時から二年後また思い立った、要するに化膿しない様に気をつければいいと考えて。
 それでまたピアスをしようと思ったけれどこの時私は同じ会社の子と付き合っていた。同じ歳で入社したのは彼の方が四年後だったけれど彼は大学を出ていたので年齢は同じだった。
 その彼にだ、ピアスを開けようかと言ったらこう言われた。
「止めた方がいいだろ」
「そうした方がいいかしら」
「ピアスしてそのピアス引っ張られたら怖いだろ」
「そんなことする人いないでしょ」 
 幾ら何でもとだ、私は彼に反論した。ピアスをしたそこにかけているイアリングをすれば耳にとんでもない傷がつきかねない。そんなことをしたら駄目に決まっているからだ。
「幾ら何でも」
「小さい子はするぜ」
 彼は私に真顔で言ってきた。
「そうしたこともな」
「小さい子だとなの」
「ああ、それこそな」
 まさにというのだ。
「それ位はな」
「普通にするの」
「小さい子はまだしたら駄目なことわかってないしな」
 教育を受けてわかることだ、まだまだ白紙の部分が多い子供はやっていいことと悪いことを一つ一つ教えていかないと駄目とは男の子三人を絶賛子育て中の従姉のお姉ちゃんに言われた。
「だからな」
「そうしたこともなの」
「する子いたりするしな」
「そんなことされたら」
 それこそとだ、私は彼に眉を思いきり顰めさせて言った。
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