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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百四十八話 打診
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人の間ではそういう話が有ったに違いない。帝国による宇宙統一はヴァレンシュタイン元帥だけの考えなのではない。リヒテンラーデ侯、いや帝国自体の意思とみるべきなのだ。
戦線の膠着化についてもあまり深刻には受け取っていなかった。大したことは無いと思っているのか、それとも既に何らかの手を打っているのか……。どちらかは分からない。だが戦線の膠着化では帝国を交渉に引き摺り出すことは出来ないという事は分かった。残念だったな、ペイワード。
「鼻で笑われなかっただけましだな」
「それは……」
ルパートが苦笑を漏らした。
「さて、どうしたものかな……」
「……」
ルパートがこちらを見ている。相変わらずこちらを試すような目だ。ならば……。
「ケッセルリンク補佐官、ペイワード自治領主閣下への報告は君からしてくれ」
「私からですか、しかし、何と」
「任せるよ、君に。それほど難しい事ではないだろう。見たままの事を話せばよい」
「……」
それを機に席を立った。
さて、ルパートはペイワードにどう伝えるかな? ありのままに伝えるか、それとも脚色するか……。脚色するとすれば誰のために脚色するのか? 俺か、ペイワードか、それとも……。
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