口入れ屋の能力(チカラ)
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
りを掌に乗せ、観察するシュート。その目は珍しい物を見るというより、商人が売り物を鑑定する時のように真剣だ。
「シュシュに近いな。この世界で髪を束ねるのに使うのは髪紐位しか見た事が無い。それに端切れを上手く使って作られた花の飾り。これは……」
たっぷり5分位眺めていたシュートは、
「ニナさん。これは貴女が考えて作ったのですね?」
と、念を押すように尋ねてきた。ニナがコクリと頷くと、
「成る程……では、私が貴女に紹介する仕事先が決まりました」
「ええっ!?ほ、本当ですか!」
「えぇ、善は急げです。早速移動しましょう……ヤック、すまんがいつも通りに留守を頼むぞ」
「まかひぇといて」
口の中の『きゃらめる』とやらを味わうのに忙しいのか、もごもごと喋るヤック。そんなヤックの様子には目もくれず、シュートはニナの手を取って外へと誘う。
「おっ、シュートさんじゃねぇか!」
「ど〜も〜」
「シュートさん、帰りに寄っとくれよ!いい酒が入ったんだ」
「是非是非」
「シュートのおじちゃん、こんにちは!」
「はいこんにちは〜」
シュートの数歩後ろを歩きながら、ニナは舌を巻いていた。シュートがすれ違う人々の悉くに話しかけられている。老若男女問わず、しかも皆ニコニコと笑顔だ。
「に、人気者なんですね」
「えぇまぁ。私の仕事は人と人とを繋ぐ仕事ですからね、人脈というのは何よりの武器なのですよ」
とにこやかに語るシュート。その顔はどこまでも朗らかで、人を食い物にして破滅させる事すらある商人にはとても見えなかった。更に暫く歩き、街の大通りの中程まで来た所でシュートはその歩みを止めた。
「さぁ、此方です」
「ここは……?」
「ロベーヌ商会。私が懇意にさせて貰っている、服を扱っている商会ですよ」
シュートはその高級そうな店構えにも臆する事無く、ずかずかと店の中に入っていく。その後ろ姿に、あわあわと慌てて付いていくニナ。果たして、ニナの運命や如何に?
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ