98話:第三次ティアマト会戦(開戦)
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の濃淡を事前に把握可能です。淡い部分に攻勢をかけながら、戦力を効率よく維持できるようにアイゼナッハ大佐とメンテナンスパターンを構築します」
「参謀長、よろしく頼む」
キルヒアイスは准将として、俺の副官から参謀長に役割を変えた。いつまでも付き人扱いでは周囲に認められることは無い為、必要な処置だったが、本人も新しい任務を楽しんでいる様で何よりだ。そして参謀長ともなれば艦隊司令の女房役だ。そういう意味でもキルヒアイスに任せて正解だろう。
「閣下、しばらくは休憩を取る事も難しいでしょう。今のうちに戦闘食をお済ませください」
新任した副官のリュッケ少尉が俺の手元に戦闘食を置くと、幕僚たちにも配り始めた。何かと気の利く男だし、大言はしないものの周囲の事をしっかり見ている人材だ。戦闘に意識が向いていたが、部下たちを空腹で戦わせるわけにもいかない。
「少尉、会戦が本格化するまで、今少し時間があるだろう。戦闘食を今のうちに取っておくように伝達を頼む。良い気づきだった」
少尉は嬉し気に敬礼すると、分艦隊に伝達すべく、自分の端末へ向かっていった。我ながら良い人材で固められたと思う。もともと軍部系貴族が団結している事が大きいが、軍では身分に関わらず実績に基づいた昇進と、能力によっては抜擢する風土が醸成されている。だからこそ出来た事だが、同盟が取りつつある『メンテナンスのタイミングまでは守勢をとり、前線の戦力が減ったタイミングで攻勢をかける』という戦術への対抗策が、今回から導入されている。
『メンテナンスに伴う戦力減をなるべく減らす』言うのは簡単だが、行うのは前線指揮官たちの連携が肝になる。今までは正規艦隊の編成はメンテナンス艦を除いて14000隻だったが、司令部直卒部隊以外に、4つある分艦隊それぞれに1500隻の重装甲戦艦が配備され、分艦隊レベルで戦力の入れ替えを行う試みが導入されている。ミュラーは重装甲艦隊の指揮官で、アイゼナッハは俺の分艦隊専属のメンテナンス艦隊の指揮官と言う訳だ。
もともとあらゆる階級で艦隊の枠を越えて交流が盛んな帝国軍でなければ出来ない事だろう。俺の場合はミュラーもアイゼナッハも士官学校生の時代にリューデリッツ伯の会食の場で知己を得ている。それにメルカッツ艦隊に所属するファーレンハイト少将とビッテンフェルト少将とも顔なじみだ。これは俺だけの話ではなく、ほとんどの将官同士が顔なじみのはずだ。おそらくきっかけは皆が『ザイトリッツの日』と呼ぶ、あの会食だろう。お互いを仲良くさせ、有り余る食事と兵器を用意する。まるで『軍部の母親』ではないか......。
「ラインハルト様、いかがなさいました?」
「キルヒアイス参謀長、気にするな。すこし考え事をしていただけだ」
キルヒアイスは俺や姉上に尽くしてくれているが
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