464部分:第二十八話 逃れられない苦しみその八
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第二十八話 逃れられない苦しみその八
「それはです。しかし」
「しかしですか」
「避けられないのですね」
それがわかっていてもだ。言った言葉だった。
「最早」
「では動員令を取り下げられますか?」
「いえ」
首を横に振ってだ。王はまたホルンシュタインに話した。
「それはしません」
「されませんか」
「はい、それはしてはなりません」
今動員令はしない。決してだというのだ。
それが何故か。王はまた述べた。
「バイエルンはドイツの中で生きるしかないのですから」
「その通りですね」
「はい、そうします」
また言う王だった。
「仕方ありません」
「では」
「はい、それでは」
「フランスと戦います」
バイエルンもだ。そうしたというのだ。
「その様に」
「そしてドイツ皇帝は」
「推挙しましょう」
それもだ。そうするというのだった。
「そうさせてもらいます」
「はい、それでは」
「全ては。一つの流れの中にあります」
その流れがどういったものかもだ。王は把握していた。
確かにだ。それで述べるのだった。
「バイエルンの選択肢は一つしかありません」
「そういうことですね」
「ドイツは統一されるべきです」
それは王の願いでもある。願いだがそれでもだった。
プロイセンが軸になりバイエルンはそうではない。そのことに憂いを感じていた。だがそれでも受け入れざるを得ないのもわかっていてだ。
それでだ。王は一つしかない選択肢を選んだのだった。
そのうえでホルンシュタインとの話を終えた。次はだ。
首相を呼んだ。そのホーエンローエを。
彼が前に出るとだ。すぐに話したのだった。
「大変なことになっていますね」
「はい」
その通りだとだ。ホーエンローエも答える。
「反プロイセン感情が高まっています」
「議会でも臣民の間でも」
「そしてです」
「卿もまたですね」
「私を罷免しようとしています」
こうだ。首相は王に対して述べた。
「そして次の首相にはですが」
「少しでも。プロイセンに反発を抱いている者をというのが彼等の考えです」
「彼等は何もわかってはいません」
王はわかっていた。全てだ。
だからこそだ。首相に話すのだった。
「ビスマルク卿はドイツにとって必要な方です」
「そうです。あの方は」
「バイエルンにとっても」
バイエルンがドイツにあるからだ。それならばそうなるのは当然だった。
「欠かせない方なのです。それに」
「それにですね」
「プロイセンを排除することは不可能です」
そもそもだ。それ自体がだというのだ。
「ビスマルク卿もまた」
「そうです。何故排除できるのか」
「バイエルンもプロイセンもドイツにあり」
そのだ。
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