97話:上昇と下降
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すわ。このまま行くと『尻拭い』をしているうちに私たちの方が政治生命を絶たれかねない有様です。いい加減、そろそろ期待してよろしいのでしょうね?」
「ウインザー議員、その辺りはご安心ください。今回の出兵は新任されたムーア・パストーレの艦隊を含め4個艦隊で押し出しますし、作戦主任参謀は『士官学校首席』のフォーク准将があたります。万全の態勢で臨みますのでご安心ください」
「ウインザー議員、ご無沙汰しております。父からも議員に『近いうちに会食を』と言伝を預かっております。小官が作戦を主幹する以上、同盟軍の勝利は間違いありません。大船に乗った気持ちで朗報をお待ちいただければと存じます」
「『士官学校首席』の貴方が作戦を主幹するなら、安心出来そうですね。御父上にはご支援を頂き感謝しています。引き続き良きお付き合いをお願いしますね。数年以内に帝国で内戦が起きる事は確実なのです。今は少しでも前線を押し戻しつつ、『専制政治の下で圧政に苦しむ』民衆を解放する遠征の際には、私たちの派閥がそれなりのポジションを押さえておかなくてはなりません。くれぐれも頼みましたよ」
言いたい放題一方的にまくし立てて満足したのか?議員は残っていたお茶を飲み干すと足早に私のオフィスから出て行った。まるで嵐が去った後のような気分だ。おもわずため息がこぼれた。それなりの容姿と強気な強硬論を述べる彼女は、主戦論が強い同盟では、女性初の『最高評議会議長』も狙える人材と一般的には考えられている。
だが、演説やマスコミ対応の場と異なり、素人の癖に何かと口を挿んでくるし、毎度のように恩着せがましくまくし立てられては組む相手を間違ったようにも思う。党首の落選の余波が収まらぬ中とは言え、いつも以上に切羽詰まった印象を受けた。余裕が無いなりに余裕がある振りくらい出来なくては、人の上には立てないと思うが......。
「閣下、お疲れ様でした。ウインザー議員とは父に付き添って面会した事がございました。何かと自分をよく見せたがる部分がありますので、逆に形式を整えてしまえば、多少はぶつくさ言うでしょうが、そこで満足される方です。事前の手配が的中したようです」
「うむ。フォーク准将、この調子で作戦の方もよろしく頼むぞ」
「そちらもご安心ください。門閥貴族達の動きは軍部系貴族にも伝わっているはずです。4個艦隊に対抗できるほどの戦力を前線に集中する事は難しいでしょう。では作戦部に戻ります」
そう言い残すと、私の答礼を待ってから准将も退室していく。やっとこのオフィスに平穏が戻ってきたように感じる。椅子に深く腰掛けた後に、内線で従卒にコーヒーを頼む。出兵計画自体は既に承認され、動き出している。私が近々ですべきことは無いのだから少しくらい休憩しても良いだろう。
轡を並べて戦歴を重ねてきたシト
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