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前世の知識があるベル君が竜具で頑張る話
いぎょう
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は花だった。

蛇ではなく、茎と蕾だったのだ。

花が、レフィーヤに止めを刺そうと触手を構えた。

ヒュッ…という風切り音と共に触手が打ち出される。

その時だった。

「レフィーヤ先輩っ!」

ガァン! というまるで金属同士をぶつけたような音が響いた。

「ぁ…………べ……る……」

レフィーヤをかばうように、ベルが立っている。

その両手には、ハートをあしらった大斧。

「トライクリーロ!」

ベルがその大斧をぶん投げた。

花が一斉にそちらを向く。

「あぁ……なるほどね……」

投擲したが、茎に突き刺さった。

「レフィーヤ先輩、直ぐに救援がきます。それまで持ちこたえてください」

ベルが駆け出す。

「ムマ!」

突き刺さった斧は忽然と消え、ベルの手に現れる。

「アンジンクリーク!」

斧の刃が、形を変えた。

それはまるで、ノコギリのようだった。

「植物ならっ! これでっ!」

花の付け根に、ムマが振り下ろされた。

ノコギリ状の刃が、ぶちぶちと繊維を断ち切る。

どすん! と花が落とされた。

首を落とされた茎が力無く崩れ落ちる。

「……ふぅ」

ベルはムマを杖のようにし、一息着いた。

「ティオナさん! レフィーヤ先輩をお願いします!」

「わかった!」

ティオナがレフィーヤに駆け寄ろうとした瞬間。

世界が揺れた。

「っ…まだ来るっ!?」

ベルを取り囲むように、土煙が上がる。

その数六。

「エザンディス!」

斧が土くれと化し、影に溶ける。

その影は形を変え、鎌となった。

「ヴォルドール!」

六本の花の一斉攻撃。

ソレをベルは紙一重で逃れた。

回廊が開かれた先は、空中だ。

花が一斉に上を向く。

「来い!」

茎が伸び、ベルに迫る。

その一本目を位置エネルギーを加算した一撃で切り裂く。

二本目を勢いのまま切り飛ばす。

そして三本目を斬った時。

残りの全ての花の攻撃で、ベルが地に落ちた。

「あがっ!?」

その小さな体が地に打ち付けられる。

「兎君!」

ティオナが声をあげる。

「僕はいいから早くレフィーヤ先輩をっ!
早く行けっ!」

「っ…うん!」

レフィーヤを抱き上げたティオナが離脱する。

「ベル!」

ティオネは倒れたベルを素早く抱き上げ、後退した。

「っすいませんティオネさん」

「あとで大口叩いたお仕置きね」

「…はい」

ティオネが横抱きにしていたベルをおろす。

「ねぇ、アンタの竜具だっけ? 複数出せる?」

「だせはします。
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