でーと
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子は……新人かい?」
「「?」」
二人は突然店員に話を振られ、困惑した。
「ああ、ごめんね、僕はヘスティア。これでも神なんだ」
胸を張るヘスティアの胸部は、小さな体躯と幼げな顔に似合わず凶悪だ。
装飾品の青い紐が、その胸を強調する。
「そうなんですか」
「へっヘスティア!?」
ベルが驚いたように声をあげる。
「どうかしたのベル?」
「いやいやいや! ヘスティア様って凄い神様ですよ!? オリュンポス十二神から退いたとはいえ天空神ウラノスの長女で火の女神様ですよ!?」
「ほっほう? 君は見る目があるなぁ。名前は?」
「ベル・クラネルです。お初にお目にかかりますヘスティア様」
「うん。はじめまして、ベル君」
ニッコリと微笑む幼げな笑顔は、その顔立ちには異質な、それでいてマッチしている柔らかで包み込むような母性を滲ませる。
「ところで、君達はデートかい?」
「ふぁえっ!?」
「はい、でーと? です」
「ほうほう…あのアイズ・ヴァレンシュタインがデートねぇ……」
「あっえっと、そのっ、ぼ、僕がアイズさんに一撃入れられたご褒美っていうかっ」
「へぇ…君にとってはご褒美なのかい」
「いっ!?」
ぼしゅっ! とベルが顔を赤くする。
「アイズ・ヴァレンシュタイン、君はどうなんだ?」
「どう? とは?」
「ベル君と居て楽しいかい?」
「ベルと居ると、なんだか、心がぽかぽかする。
よく、わからないけど、一緒にいたら、安心します」
「はっはっは! 良かったじゃないかベル君」
「あ、えと…その……はい」
するとヘスティアは屋台越しに片手を差し出した。
「あ、お勘定ですね」
ベルがポケットから財布を出す。
リヴェリアに持たされた物だ。
「ああ、そうじゃない。二人とも手を置いてくれ」
二人は不思議そうに手を置いた。
その上から、ヘスティアが手を重ねた。
「汝ら二人の住まう家に、竈と暖炉のぬくもりが有らん事を」
ヘスティアは竈と暖炉…家の火の神だ。
つまり、家庭を守護する神だ。
「ふふ。これでロキにすこしは仕返しできたかな」
「「?」」
「まぁ、気にしないでおくれ。ああ、ロキに愛想が尽きた時には僕の所においで。
何時でも歓迎するぜ」
首を傾げる二人に、ヘスティアがじゃが丸君を渡す。
二人は代金を払い、屋台を後にした。
「なんだったんですかね?」
「さぁ……?」
神の言葉はそれだけで意味を持つ。
アルカナムを使わなくても、神の干渉で運命は容易くネジ曲がる。
「いこ、ベル」
「はい」
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