ダン梨・F
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チの主神とかがするべきなんだろうけど、生憎うちの女神さまはこの上なくお人よしなもんで。大人もいないし、賢しい頭を使っとかないとな」
とんとん、と自分の頭を指でつついてバミューダは笑う。
それを見て、何となくヴェルフは腑に落ちた気がした。
彼はベル、リリスケ、ヴェルフの関係を見て、自分はこういう態度でいるべきだと見定めているのだ。ここで自分がフザケ飛ばしているとヴェルフが浮くし、いい印象も持たれない。心象は即席チームに於いて大きな不和を呼ぶ可能性がある。
親しくしないのだって、ベルとヴェルフの信頼関係に無理に踏み込む気もメリットもないからそうしているのだろう。つまり、人間関係が拗れずこちらが余計な気を割く必要のない距離を保っているのだ。それが一番面倒がないというわけだ。
唯一つだけ、違和感を感じたとしたら。
(人としては普通だけど、少年としてはちょっと大人の対応すぎないか……?)
文句はないが、人間関係的には物足りなさがある。妙に気になったヴェルフは翌日、いつもより早い時間にホームを出てバミューダが毎朝通うという果物市に行ってみた。
「……もうマジで大概にしろよこの梨狂いクソガキ!!30ヴァリスだ!!もうこれ以上はビタ1ヴァリスもまけてやらんからな!!前の高級梨に飽き足らずどんだけ値切る気だマジで!!」
「いーじゃんいーじゃん。同情したギャラリーが後でいろいろ買ってくれるから内心オイシイって思ってる癖に」
「ギャラリー出来るほど梨値切ってるお前の頭のおかしさにはキレそうだがな!!」
「いやぁ、梨値切魔人は今日も朝から飛ばしてんなぁ」
「つーかレベル2になって収入増えてんのにまた安値記録更新したぞ」
「でもほらアイツの主神ってあの貧乏紐女神だから……」
「ああ、あの神じゃあ仕方ないな……」
鬼のような値切りで梨を激安購入しているバミューダの顔は、ダンジョン内よりイキイキしていた。余計にバミューダのことが分からなくなってきたヴェルフは、深く考える事を止めた。
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