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魔王の友を持つ魔王
§5 課題山積みの魔王
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《みうち》の力で自身を蹂躙した最悪の少年。彼が、居る?

「これで終わりだ!」

 思わず戦場の外へと意識が飛ぶ。そしてそれを逃すほど草薙護堂は甘くない。

「……しまった!!」

 アテナの思考はそこまでだった。
 いつの間に刺さったのだろう? 胸を貫くのは獅子心王の剣。しかし、それはあくまで切り札を通すための布石にすぎない。
 均衡を保っていた太陽と闇。そのうちの片方が弱体化したらどうなるか。均衡が崩れたことにより莫大な熱量が彼女を襲う。
 アテナを、太陽が飲み込んだ。その輝きは辺り一面を焼き尽くさんばかりに眩く、誰も目をあけていられない。






「……まぶしー。なにあのふざけた太陽。代償支払った形跡ないっぽいしケンカ売ってんの?」

 どことなく拗ねた口調の黎斗。彼の戦闘系権能は単純な破壊力なら先ほどの太陽を上回るものもあるものの代償が洒落にならない。使いどころを間違えただけで死亡しかねないハイリスクハイリターンな力。ノーリスクである(ように見える)護堂の権能を見て理不尽を感じるのはやむなしといったところだろう。

「でもまぁ、これで終わったね。……しっかし鈍ったなぁ。ヤバいかも」

 苦虫を踏み潰した表情の黎斗。原因は邪眼だ。
 邪眼の消去効率が悪すぎる。現役時代の半分にも満たないのではないだろうか? おまけに視界内の全てを無効化する筈が対象のみの無効化、と性能自体も全盛期とは雲泥の差。これでは凹んでも無理はない。

「須佐之男命様との試合では大抵能力使用しないで戦っていらっしゃいましたものね」

 エルはある程度この状況を予想していたらしい。言葉に淀みがない。

「サリエルでこれなら他も推して知るべし、か…… アーリマン、ツクヨミ、ディオニュソス辺りはリハビリだなこりゃ」

「ですね。でもスーリヤ様、テュール様みたいな代償が致命的なのはどうなさるおつもりですか?」

「うーん、昔の勘を取り戻せたらなんとかなると信じよう、うん」

 黎斗が挙げた権能はエルが口にしたものと異なり制限が無い、又は比較的軽いものばかり。これらから少しずつ実力を取り戻していこうと心に決める。現状では武術でこそ勝てても権能が原因でまつろわぬ神に負けかねない。

「まったく、今日は反省が多いなぁ。課題も山のように見つかるし散々」

「気づかないよりはよろしいかと」

 エルの言うとおり発見できてよかったのだろう。戦闘中の誤算は敗北に直結する。即ち、死。そう思い直した黎斗はロンギヌスをしまい未だ騒がしい現場を眺める。

「……護堂、お疲れ様」

 最後に一言呟き、黎斗は踵を返す。見られないように帰る必要があるのだ。無事帰宅できるまで、気を抜くことは許されない。更にこの場には実力者が
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