§5 課題山積みの魔王
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みた剣。しかし剣を連続使用してこないあたり一回使ったらインターバルが何日か必要なのだろう。
「っはー…… マジかよ、あの女神サマ太陽防いでるよヲイ…… この人たちこわい。苦手だろうになんで防げんのよ」
アテナが必死に防いでいる様子を見る限り、これが正念場なのだろう。護堂も流石にこんな大火力技を複数持ってはいないだろう。というか、持っていたら自分の立場が無い。黎斗は大火力を一つしか持っていない。
「この調子だとアテナが防ぎきって護堂の負け、か。……悪いねアテナ。介入させてもらうよ」
七大天使・サリエルの権能、「我が前に邪悪無し」を発動する黎斗。エルが面白がってつけた名前だが、長くてかなわないため結局黎斗もエルもこの名で呼ばない。サリエルが邪眼を持つ天使として有名なため邪眼で意味が通じるからだ。「名付ける意味ありませんでしたね」とエルが苦笑いをしたのは懐かしい記憶だ。黎斗が二番目に――この世界に来てからは最初だが――に手に入れた権能である。
能力は明快。視界内の呪術の一切を無効化。任意で無効化の対象から外すこともできるが基本的に無差別無効化だ。多くの権能は莫迦らしいほどに強大すぎるため、無効化こそできないものの視界内に捉えている限り弱体化させ続ける。手軽で単純、特に魔術師に対し凶悪な効果を発揮するので使い勝手がよい。守りの鬼札。「流浪の守護」のおかげで権能を発動させても他者に気付かれることはない。この程度の神力なら流浪の守護で隠蔽が可能なのだ。
狙うは、アテナが現在進行形で展開している闇の守り。
「ははっ・・・!! 勝負あったな、草薙護堂よ、妾の勝ちだ!!」
額に汗を浮かべながらも、アテナは高らかに宣言する。敵の真の切り札が"白馬"であることなど叡智の女神たる彼女にはお見通しだ。防ぐのに十分すぎるほどの余力を残してきた彼女は、その力をもって太陽を防ぐ。
今でこそ敵は猛攻を仕掛けてきてはいるが、これさえ耐え凌げば敵にもう彼女への有効打が存在しない以上勝利は決まったも同然。敵の従者が持つ剣も余裕を持って防ぎきれる。この太陽もじきに弱まり消滅する。その時が最大の勝機。
アテナの読みと判断は正しい。
???この場に水羽黎斗という存在がいなければ。
「……!?」
背筋に突如、悪寒が走った。誰かが、自分を見ている。この感覚は昔にもあった。忘れもしない、自分の前から平然と逃亡したあの神殺しの時と同じもの。たしかこの視線は術を弱体化させてしまう。
支える足場が、少しずつ、少しずつ崩れていくような、そんな不安な気分にさせられるこの感覚。自身を纏う力が、だんだん消失していく。
「この感覚は、まさかッ……!?」
思い出すのは、|ディオニュソス
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