§5 課題山積みの魔王
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れなりに強いっぽい。現状で突破しようとすれば多分彼らも違和感を感じる。違和感与えるのは得策じゃないかなと思ってさ」
どうやら主は完全に自身の情報を秘匿したいらしい。魔王らしく堂々介入すればいいのに、と思いながらも返す言葉は決まっている。
「わかりました。全てはマスターの望むがままに」
「ありがと」と声を発した黎斗は認識遮断を一段階上昇させ、速度も更に上げて走る。ソニックブームを防ぐ術を知らないため、風操作の術で代用。ただし使い慣れないため調子に乗ってスピードを出し過ぎるわけにはいかない。
術者の真後ろを何回か通ったが誰からも気づかれずに通り抜ける。そよ風すら吹かず認識不可とあれば彼らが気付かぬのも無理はない。
川上を走り足に魔力をこめる。壁を踏みしめひときわ高いビルの屋上に飛び降りた。
「やーっと、見つけた……」
魔王の見下ろす先にいるのは、新しき魔王と戦の女神。
「あぁ、あっちに他の皆様はいらっしゃるのね」
「あちらの方々が神と魔王の戦いに介入するのは些か厳しいかと」
「だよねぇ…… やっぱバレるの覚悟で援護するか……?」
折角ここまで気付かれずに来たのだから最後まで影でありたい、と思うのだがそんなちっぽけな願望のために友達をほったらかし周辺地域の被害を無視するというのは外道だろう。
……「来い、古より畏れられし神殺しの神槍」
言葉が紡がれると同時に、黎斗の影が水面のように揺らめいた。影の中に棒が浮かび上がる。彼によって引き抜かれたソレは幾星霜もの時を経て、すっかりボロボロになってしまった長い木の棒にしか見えない。呪力など欠片も発さず、軽くふっただけで壊れそうだ。
「思い出したまえ。呪われしものどもを罰し」
黎斗が言葉を発するたびに、棒に亀裂が入っていく。
「主、憐れみたまえ」
???瞬間、棒が砕けた。内部より漆黒の長柄物が現れた。数世紀の時を越え再び神殺しの槍が顕現する。
飾りの全くない質素な槍が黎斗の手に収まる。二メートルくらいだろうか。流浪の守護を展開してさえいなければ地上の二人も気づいたであろう、凶悪な程の呪力。所有者に栄光をもたらすと伝えられるそれは名をロンギヌスという。
「……流石にメンテ必要だったか。まさか棒きれに戻ってるとはね」
苦笑いをしながら、ロンギヌスを軽く振り異常が無いことを確認する。
「少なくともここ四百年は使っておられませんでしたししょうがないと思います」
「さて、いきま……え?」
いざ行かんと下を眺めた黎斗は予想外の光景に目を丸くした。
「光の……剣?」
「……あれ絶対ヤバいですよ。傍目に見てこれだけ危険なんだから…… あれ? もしかしてアテナ様負けた?
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