96話:銃後の闘い
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かって一体何年たつだろう?潤沢とは言えない予算をやりくりして、なんとか帝国軍を押しとどめてくれている軍部に対して、感謝の気持ちはあれ、責める気には『わたしは』なれないがね」
『空っぽ女』の矛先が私に向いたが、もう終わった人間の負け惜しみなど気にする必要もない。それにしても『右派の党首』が軍部を批判するとは......。レベロ議員の言った通り、選挙戦で自分がどんな演説をしたのか?どんな公約を掲げたのか?メインの支持層は誰なのか......。そんな事も頭から消し飛んでしまったらしい。国防委員長という職責上、憲兵隊から憂国騎士団についての捜査進捗は報告を受けている。司法の場でも金切り声を上げるのだろうか?正直、今から楽しみだ。
政治家としてのキャリアを国防族として重ねてきた私にも、憂国騎士団からのアプローチはあったが、どうも過激な人員がいる様子であったし、いつか暴発すると判断して、深い付き合いはしなかった。後がない人物には少しでも支持者が欲しかったのだろうが、多くの市民から『どう見えるか?』を考えたらあれは劇薬の類だろう。使った本人にも大きな害をもたらす訳だ。
「それでは最後に『中道』と『中道左派』の意見としては戦況を鑑みれば『致し方ない』といった所です。議席数を考えると、『賛成がやや多数』といったところでしょうな」
「現実がきちんと見えておられる方は『賛成』すると確信しておりましたわ」
最後に意見を述べたサンフォード議長に追従するように『金切り』が言葉を発した。レベロ議員と私に嫌味な視線を送ってきた所を見ると、本当に後が無いようだ。だが、これでどちらに転んでも『金切り』の政治生命は終わった。ついでに議長も退陣する事になるだろう。仮に門閥貴族が内戦に勝利したとして、イゼルローン要塞でも割譲してもらえるならともかく、市民たちが納得するような条件は出ないだろう。
そしておそらくだが、内戦は軍部貴族が勝利するだろうし、そうなれば国内の生産効率を高め、『臣民の敵』となった同盟に、本格的に侵攻してくるだろう。『中道右派』と『右派』の支持層を取り込めれば、議長の座は手に入る。私の後任は、良くしてもらっているしネグロポンティー君に頼むとしよう。投票システムで『反対』を投じながら、私は自分の後任について思いを巡らせていた。
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