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レーヴァティン
第八十一話 東国その四

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「寿司にしては普通だ」
「そうだね」
「楽しませてもらった、ではだ」
「水戸に行くね」
「今度は納豆だ」
 水戸といえばこれなのでこう言ったのだ。
「それを食う」
「ああ、それでだよ」
「ラーメンやチーズもだな」
「食えるからね」
 水戸、この街に行けばだ。
「楽しみにしておいてくれよ」
「そうさせてもらう」
「本当にいい街だしね」
「納豆、そういえばでござる」
 納豆についてだ、智はここでこんなことを言った。
「大学の食堂でもあるでござるな」
「パックのがね」
「吉野家の様に。ただ」
「あれ外国の人は中々食わないんだよね」
「噂に聞いていると見るだけで」
「食わないんだよな、納豆」
「美味しいでござるが」
 智は八条大学に多くいる他国からの留学生達の殆どがそうであることに対して残念そうな顔になって述べた。
「匂いや外見が悪いと」
「そう言ってね」
「腐っていると」
「それ大抵の留学生が言うね」
「左様、こんなもの食べられぬと」
「いや、食えるから出すんだよ」
 桜子もこのことを言った。
「ちゃんとね」
「腐ったものなぞ出さないでござる」
「普通に食わないよ」
 そもそもというのだ。
「大体ね」
「醗酵させているでござる」
 大豆をそうさせたのが納豆なのだ。
「言うならヨーグルトと同じでござる」
「それで随分違う評価だよ」
「悲しいことでござる」
「あと梅干しや海苔もね」
「左様、他国の方は嫌いでござる」
 こうした食べものもというのだ。
「味や外見がよくないと」
「そう言ってね」
「食さないでござるよ」
「そうだね、しかし八条大学はやっぱり関西の人が多いけれど」
 神戸にある大学で運営している八条グループの本拠地がその神戸にあるから当然と言えば当然のことである。
「皆食うね」
「今は関西でも結構食べるでござる」
「そうなったんだね」
「昔は違ったでござるが」
 ほんの三十年前まではまだそうだった。
「今は結構食べるでござる」
「そうなったんだね」
「かつては関西で納豆を食べると言うと」
 誰かがそう言うとだ。
「周りが凄い目で見て批判の嵐だったそうでござる」
「差別みたいだね」
「そこまで嫌われていたでござる」
 納豆、この食べものはだ。
「納豆は」
「それが三十年で変わったんだね」
「そうでござる」
「それ関西だけだったぜよ」
 当季がここでこう言ってきた。
「他の地域では昔から普通に食っていたぜよ」
「そうだったでござるか」
「高知でも食っていたぜよ」
 それこそ昔からというのだ。
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