暁 〜小説投稿サイト〜
クリスマス=キャロル
第五章

[8]前話 [2]次話
 若いちゃらちゃらしたカップルは礼拝堂の中でこんな話をしていた。
「遊びに行く前にな」
「クリスマスだしね」
 だからだと話していた、外見は二人共かなり派手だ。
「それだったらね」
「教会にお邪魔するのも悪くないよな」
「そうよね」
「たまには神様のお話も聞かないとな」
「そうそう、たまにはいいし」
 実に軽薄な感じでそこにいる。
「それじゃあね」
「神父さんのお話聞かせてもらおうな」
「それから遊びに行こう」
「カラオケ行ってな」
「後は居酒屋で食べ飲み放題よ」
 一見クリスマスとは無縁の遊びの話をしていたが日本ではこうした店もクリスマスカラーになっているので問題なかった。
 そんな参列者ばかりだったが神父もシスターも微笑んでだった。
 参列者達に来てくれた礼を述べてからだった、ミサを執り行った。
 讃美歌を歌い教えを説いた。それからだった。
 参列者達との懇談の場を持ったがここで若いカップルが神父に言った。
「これがクリスマスなんですか?」
「随分静かですね」
「教会だから派手だって思っていたら」
「こんなのですか」
「はい、そうです」
 その通りだとだ、神父はカップルに微笑んで答えた。
「これがです」
「教会のクリスマスですか」
「こうしたのですか」
「いや、俺っちこういうのはじめてでした」
「あーしもです」
「こんなクリスマスなんですね」
「教会は」
 このことを驚いている二人だった、外見はちゃらちゃらしているがマナーや品性はそれ程悪くはなかった。
 それでだ、神父に言うのだった。
「今回は勉強になりました」
「何ていうか神聖な気持ちになりましたし」
「今回もお見事でした」
 住職は神父に笑顔で語った。
「讃美歌もお話も」
「そうであればいいですが」
「いや、そちらの神様の教えも」
 キリスト教のそれもというのだ。
「非常に勉強になります」
「では今度はこちらが」
「寺にいらしてですね」
「お話を聴かせてもらいます」
「それでは」
 二人でこうした話をした、そして子供達は。
 シスターの周りに集まってだ、口々にねだっていた。
「お菓子頂戴」
「クリスマスだからくれるよね」
「だから頂戴」
「早く頂戴」
「今出してくるからね」
 シスターは信仰よりもそちらという子供達に怒るでもなく笑顔になってだ。そのうえでなのだった。
 参列者全員にお菓子を出した、そうしてだった。
 彼等と親しく話した、それが彼等のクリスマスだった。
 ミサが終わり懇談も終わって参列者達も帰るとだった、神父とシスターは教会に二人だけとなったが。
 そこでだ、神父は夕食の時にだった。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ