第四章
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朝からだ、日本中本番になったと言うべきだったが。
協会は静かだった、神父はこの日の用意をしつつシスターに話した。
「では」
「はい、今日はですね」
「パイプオルガンは大丈夫ですね」
「いつも手入れをしていますが」
シスターがそれを行っているのだ。
「先程です」
「手入れをされましたか」
「そうしてです」
そのうえでというのだ。
「音も確かめました」
「演奏をされて」
「そうしました」
そして音が出たというのだ、奇麗なそれが。
「ですから」
「讃美歌を歌う時はですね」
「大丈夫です」
「わかりました。それでは」
「はい、その時が来たならば」
「ミサを行いましょう」
「クリスマスのミサを」
「そうしましょう」
二人で話してだった、時間になるとミサを行いはじめた。その時には話を聞いた近所の者達がだった。
やってきた、だが彼等は。
その殆どというかほぼ全員クリスチャンではなく神父と交流のある近所の住職さんがお付き合いで来ている程だった。
流石に僧衣では着ていないがだった。
「住職さんも来てるね」
「今年も」
「そうしてるんだね」
「いやあ、神父さんにはいつもよくしてもらってるからね」
それでとだ、住職は周りに笑顔で応えた。
「だからね」
「今年もだね」
「こうしてクリスマスのミサに参加して」
「歌やお話を聴くんだね」
「そうなんだよ、他の宗教の御話を聴かせてもらうことも」
住職はその剃髪した頭を自分の手で撫でながら笑って話した。
「面白いしね」
「だからだね」
「クリスマスは毎年ミサに参加している」
「そうしているんだね」
「忙しい時は女房に来てもらってね」
自分の奥さんにというのだ。
「そうしてだよ」
「そうだね、じゃあね」
「今年もこのミサに参加しようか」
「讃美歌を歌って」
「それで神父さんのお話を聴かせてもらってね」
「お菓子貰えるし」
子供達もいるが彼等のお目当てはこちらだった。
「ミサの後で」
「その後でお菓子貰えるのよね」
「じゃあね」
「来ないと損だよね」
「ケーキも食べさせてくれるし」
子供達はそちらの方に関心があった、それでだった。
彼等もいた、他の参列者もキリスト教徒はなく神父達との付き合いで来ていたりお菓子が目当てだったり暇だったりして来ていた。
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