454部分:第二十七話 愛を呪うその二十四
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第二十七話 愛を呪うその二十四
「申し訳ありませんが」
「ではこうしよう」
ホルニヒが言えないことがわかってだ。王は。
その彼にだ。今度はこう告げたのだった。
「一人言は言えるか」
「一人言ですか」
「そうだ。それは言えるか」
ホルニヒにだ。静かに告げたのである。
「一人言はだ」
「それでしたら」
ホルニヒは王のその言葉にあるものを受け取った。そうしてだった。
静かにだ。答えたのだった。
「陛下が思われるのなら」
「いいのだな」
「一人言です」
自分でもこう前置きする。
「ですから」
「そうか。私が思うままか」
「左様です」
「私の中ではもう答えは出ている」
既にだ。それはだというのだ。
「最早な」
「では」
「私はやはり女性を愛せない」
このことをどうしても意識してだった。
「何があってもだ」
「ではやはり」
「決めている」
既にだと。また言う王だった。
そのうえでだった。王は。
ホルニヒにだ。今度はこんなことを話した。
「飲もう」
「ワインをですか」
「そうだ。飲もう」
ホルニヒをだ。それに誘った。
「飲めば憂いが消える」
「だからですね」
「そうだ。飲む」
王は実際にだ。ホルニヒがワインを出すのを見ていた。
そしてだ。そのワインを見た。それは。
「イタリアのワインだな」
「はい、あの国のワインです」
「イタリアも今一つになろうとしているな」
「サルディニアの下に」
「ドイツは昔からあの国に惹かれてきた」
それは最早運命的なものでありだ。ドイツ、そしてドイツ人はイタリアを見続けていたのだ。
「神聖ローマ帝国の頃から」
「そうでしたね。その頃から」
「イタリアを見てイタリアで楽しみたかった」
「今もそうですね」
「ゲーテもそうだった」
彼もイタリアに惹かれだ。よくイタリアを旅していたのだ。
「そしてワーグナーも」
「あの方も度々行かれていますね」
「プロイセンもイタリアには好意的だ」
そのドイツの中心になろうとしている国もだ。そうなのだ。
「あの国にはだ」
「そうですね。そしてバイエルンも」
「ドイツ人はイタリアを愛するものだ」
王は言った。
「それは必然だ」
「必然ですか」
「そうだ。必然だ」
まさにそうだというのだ。
「ドイツの気候は暗いな」
「暗鬱としていることが多いですね」
「その暗鬱なドイツにいてイタリアを見る」
さすればどうなるか。それはドイツ人なら言わずもがなだった。
「憧れ以外の何者でもない」
「ワインも美味ですね」
「そして料理自体もいい」
王にしてもだ。イタリアを褒めることに躊躇はなかった。
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