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デジモンアドベンチャー Miracle Light
第70話:誠実
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「さあ、早く降りてこい!!」

「い、嫌です!みんながこうなったのも、そのデジメンタルのせいなんだ!そんなデジメンタルなんか……そんなことより、早くここから脱出しましょう!!」

京が咳き込んだために、伊織は脱出を促す。

「ここで脱出出来てもメガシードラモンに襲われない可能性がないとでも?ここは少しでも脱出の成功率を上げるためにデジメンタルの力が必要だと思わないかい?水中限定とは言え、完全体を倒せる力が必要なんだ。さあ、降りてくるんだ伊織君」

「だから要らないんですって!!いくら強力なデジメンタルでも、僕は…僕は…」

「…冗談じゃない。僕の紋章の基になったデジメンタルを海の藻屑にしてたまるかよ!!伊織君。さあ、一緒に来てくれ」

珍しく荒い言葉遣いで丈が言った後、伊織の手を掴んで強引にデジメンタルの元へ降りる。

「伊織、持ち上げて見ろ。アルマジモンをそいつでアーマー進化させれば水中限定で完全体とも渡り合える」

ブイモンがデジメンタルを持ち上げるように促すが。

「……無理だよ、持ち上げられないよ」

「試してもいない癖に無理とか言うなよ」

伊織の言葉にブイモンが呆れたように呟く。

実際に伊織程、“誠実”に相応しい人間はいない。

誰もが誠実のデジメンタルが伊織のデジメンタルであることを疑っていない。

「だって、だって僕のせいでみんなが危ない目に遭ったし……」

「それを言ったら警戒しないで中に入った俺達の責任もあるだろ」

「シャッター閉じた俺も悪いぞ。あの時なら気合いで泳げたかもしれないしな」

「誰も悪くないって」

大輔達がフォローを入れる。

「それに僕、嘘吐いちゃったの。嘘だけはいけないってお祖父様に言われたのに…だから、僕には誠実のデジメンタルを持つ資格なんてないの…」

「…伊織君」

あまり付き合いは大輔やヒカリ程に長くないが、伊織は小さな嘘すら吐いたことがなかった。

嘘を吐かないことはとても人間として素晴らしいことだが、しかしそこまで自分を追い詰めるような人生が面白いとは賢には思えない。

「伊織君、確かに嘘を吐かないことはとても素晴らしいことだと僕は思う。でも自分を追い詰めてまで必要なことなのかい?自分を追い詰めてまで過ごす人生が楽しいものとは僕には思えない。」

「賢さん…」

「そうだよ伊織君。それに嘘にはね、吐いていい嘘と吐いて悪い嘘があるんだよ。人を傷つける嘘と、人を助ける嘘」

「そうそう、嘘も方便というだぎゃ!!」

「そういうことだよ」

「でも…」

「何ならさ、僕が帰ってから伊織くんのお祖父さんに事情を説明する。少なくとも、僕は君の嘘で傷ついてないし、逆に君が嘘を吐いていなかった
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