第四章
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「ここ横須賀だしな」
「シーレックスの場所ですか」
「ああ、横浜のな」
当時横浜ベイスターズの二軍は湘南シーレックスといった、寮とグラウンドは海上自衛隊横須賀基地のすぐ傍だ。
「本拠地なんだぞ」
「だったらですか」
「阪神のCDなんてな」
「普通に横須賀中央の商店街で売ってましたよ」
「あのCDショップか」
横須賀中央駅からアメリカ軍のベースまで続く車道の左右にある商店街にあった店だ、二〇一八年現在では閉店してしまっている。
「あそこで買ったのか」
「はい、そうでした」
「あそこにもベイスターズの選手のサインあるだろ」
「万永のサインありましたね」
「他にもあっただろ、まああの店で買ったならな」
それならと言う駒込だった。
「いいか」
「この艦に置いていいですか」
「ああ」
駒込は最初から受け取るつもりだったがこのことはあえて言わないで中西に答えた。
「それじゃあな」
「宜しくお願いします」
こうして阪神タイガースのCD自体は艦に置かれた。そうしてだった。
中西は退艦した、そのうえで次の実習先である厚木に向かったが。
この時から三年後阪神は優勝した、中西はこのことに大喜びし優勝すると携帯ですぐに彼に連絡した。
「あの、今です」
「おう、阪神がだな」
「優勝しました」
「よかったじゃねえか」
駒込は電話の向こうで中西に言った。
「おめでとうと言っておくな」
「有り難うございます、それで」
中西はもう一つの本題をここで言った。
「実習の時ですが」
「百万円か?」
「日本一になったら」
「なったらな」
これが駒込の返事だった。
「やるよ」
「お願いしますね」
「ただな」
駒込は中西に笑って話した。
「日本一になったらだろ」
「絶対になりますよ」
「そう思ってるか」
「確信してます」
中西は実際にそうなっている、だからこそ言うのだ。
「ダイエーに勝ちますよ」
「ダイエー強いぞ」
「いやいや、阪神もっと強いですから」
「それでダイエーにも勝てるか」
「昭和六十年みたいに」
あの伝説の年の様にというのだ。
「そうなりますよ」
「ならねえよ」
「日本一になりません?」
「阪神だからな」
駒込もまた確信していた、そのうえでの言葉だ。
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