447部分:第二十七話 愛を呪うその十七
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第二十七話 愛を呪うその十七
「ですから」
「夜はお好きですか」
「人は昼に動き夜に休むもの」
それが人の社会だ。王はその夜にだった。
安らぎを見てだ。エルザに話していくのだった。
「それに昼の太陽とは別にです」
「星達ですか」
「月もです」
今は空にない。しかし王はその月についても話した。
「月もまたいいものです」
「月ですか」
「はい、月です」
王は月の話になるとだ。さらに笑顔になりだ。
そのうえでだ。こんなことも言った。
「月は優しく穏やかな光で世を照らしてくれます」
「太陽とは別に」
「太陽の輝きは」
欧州では男性的とされる、それはだというのだ。
「私にとっては厳しいです」
「眩しいのですか?」
「眩しく。あまりにもきついです」
そうだというのだ。王にとっては。
「ですから。月の方がです」
「よいのですか」
「月は突き刺さず優しい光で包んでくれます」
王はまた星空を見た。赤や青、白の光がだ。濃紫の空の中に輝いている。その輝きを見ながらゾフィーにも話すのだった。
「ですから月が」
「お好きなのですね」
「私はその下か。星の下でいたいです」
「では太陽は」
「人は太陽を尊びます」
こうした言葉がある。教皇は太陽、皇帝は月だ。あるローマ教皇が言った。教皇を上位に置いた言葉に他ならない。こうした言葉が出る程だ。
欧州では太陽が上位に置かれている。しかし王は。
それを拒みだ。月や星をだというのだった。
「よいでしょうか。それは」
「月や星を愛することが」
「エルザはどう思われるでしょうか」
ゾフィーを見ずに。星を見て話す。
「そのことは」
「私はです」
ゾフィーは王が取り繕いを好まないことを知っていた。それでだ。
王にだ。率直に答えたのだった。
「やはり太陽がです」
「お好きですか」
「はい、好きです」
実際にそうだというのだ。
「そちらの方がです」
「そうですか。太陽の方がですか」
「はい」
その通りだとだ。彼女はまた率直に述べた。
「そうです」
「そうですね。それが普通ですね」
王はだ。ゾフィーのその言葉を聞いてだ。
そのうえでだ。また言ったのだった。
「私がおかしいのです」
「おかしいとは」
「はい。普通は太陽を愛します」
王はそのことはわかっていた。
「しかし私は」
「月、そして星を」
「その方がおかしいのです」
暗い目になりだ。ゾフィーに話した。
「夜を愛する方が」
「夜ですか」
「夜は私にとっては快いものです」
そうなってきていた。今は。
しかしだ。その夜を愛するということは。
「おかしいのです」
「あの、ですが」
「昼を愛せず夜を愛する」
「それはおかし
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