第6章:束の間の期間
第183話「異変と再召喚について」
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と共にどんどん薄れていったみたいね。科学技術が発展しすぎた弊害ね」
「え……じゃあ……」
「それも解決済み。どうやったかは知らないけど、江戸時代に近いぐらいには元に戻っているわ。これは那美から聞いたけど、幽世の神が均衡を保つためにやったみたいね」
「よ、よかった……」
大気中の霊気。それは召喚するための霊力が個人では足りないために必要だった。
何人も協力すれば使わなくとも可能だが、霊気が戻った今は関係ない。
「……で、次に霊脈ね。現代では、パワースポットとか呼ばれている場所が霊脈のある場所だったりするわね」
霊脈に関しては、霊気と同じような理由で必要になる。
再召喚の準備にあたって大門の調査をしたのもこのためだ。
「できれば大門の所にある霊脈を使いたかったのだけど……」
「何か、問題が?」
「……式姫は元々幽世側の存在。再召喚するということは、幽世と現世を引き寄せあう事になる。それを、二つの世界が混ざり合いかけている時に行うのは、悪手ということか」
「そういうことよ。特に大門の霊脈を使うのは危険過ぎるわ」
幽世と現世の融合の基点となっているのも、大門のある場所だ。
そんな場所で召喚は行う訳にはいかなかった。
「他の霊脈は無理なのか?」
「再召喚における最後の条件に合うのかがわからないのよ」
優輝の言葉に、悩むような素振りを見せながら鈴は答える。
「普通の召喚ならどこの霊脈でもいいけど、再召喚だとその式姫と術者双方に“縁”のある場所でないといけないの。大門なら幽世に近いから、二人は幽世との“縁”。貴方はそこに辿り着いた事で発生した“縁”でどうにかなったのだけどね……」
「双方に“縁”がある場所……」
鈴は口にしていなかったが、それは再召喚において最も重要な事だった。
式姫という存在は、同じ名前で別の個体が存在する。
違う陰陽師がそれぞれ同じ式姫を使役している事もあるのだ。
そのために、椿や葵のように固有の名前を付けていた。
「それがなかったら、どうなるの……?」
「ほぼ確実に、別のかやのひめと薔薇姫が召喚されるわ。……もちろん、貴方達と過ごした記憶を持たない、別の個体のね」
「っ……!」
見た目が同じの別人が召喚される。
それは、優輝たちにとって最悪の未来だ。
結局椿と葵と言う唯一無二の存在は帰ってこない。
それだけでなく、なまじ記憶以外が同じために新たに召喚されたかやのひめと薔薇姫の二人との間に軋轢も生まれてしまう。
どうあってもマイナスの結果にしかならないのが手に取るようにわかってしまった。
「……他に、“縁”のある霊脈が……」
「―――あるぞ」
行き詰った。そ
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