第6章:束の間の期間
第183話「異変と再召喚について」
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た」
「……それが、ドクターを驚かせる程のものだった、と?」
「その通り。さしもの私も冷や汗が止まらなかったよ」
「それはまた……」
“あのドクターが”と言った風に、ウーノとクアットロは驚きを隠せない。
そんな二人に構わず、ジェイルは話を続ける。
「空間の異常。それだけなら私もそこまで驚かない。しかし、今回は“時空間”だ。……発見したのは、本当に偶然だったよ。私ほどの天才でもなければ、気づいても見逃していたほどだ」
「一体、何を発見したのですか?」
「……世界の歪みさ」
ジェイルの答えに、ウーノもクアットロもピンと来なかった。
「例えるなら、布などにあるほんの小さな皺。そんな歪みが、地球に存在していた。尤も、ただこれだけなら、ただ単に魔力などの力場の影響で済んだだろう」
空間の歪み。それ自体はさほどおかしいものでもない。
それは、次元震が起きれば確実に発生するようなものだったからだ。
「しかし、これはそんな範疇には収まらない。マッチの火だと思っていたものが、アルコールランプの火だったように、消える事なく燻り続ける。ここからは私の予想になるが、この歪みはやがて全ての次元世界に影響するだろう」
「……それは、つまり全次元世界の崩壊が?」
「いや、例えでアルコールランプを使ったように、飽くまで小さな歪みのままだ。プール一杯の水を、少しばかり濁らせたに過ぎないさ。世界にそこまで影響はない」
「それだと、大した問題じゃないと思うのだけどぉ?」
ウーノもクアットロも、そこまで問題には思えなかった。
しかし、ジェイルは依然として真剣な顔のままだった。
「これは、布石なのさ。この歪みはその世界を“特異点”とするのだよ」
「特異……点……?」
「“何か”が地球に楔を打ち込んだと見るべきだろうね。……これから何が起きるのか私にもわからない。だからこそ、二人にも共に考えてほしいのだよ。これから、どうするべきかをね」
抽象的で要領の得ない説明に、ウーノとクアットロは理解に時間がかかる。
だが、地球で何かが起こると言うのは、すぐにでも理解できた。
故に、その対策のためにもすぐに知恵を巡らす事になった。
「どうだったんだ?」
アースラへ帰還した優輝達に、クロノが声を掛ける。
「……管理局に、世界の融合を止める技術はあるかしら?」
「は……?」
鈴から出た唐突な質問とその内容に、クロノは間の抜けた声を出す。
直後に何かあったのだと即座に理解した。
「大門の封印は完璧。瘴気の影響も徐々になくなっていく。……だけど、調査すれば大門周
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