第六章
[8]前話
「そうなんだな」
「そうだろうな」
「何かな」
中西はこのことについても納得して述べた。
「今年の阪神の優勝は大変そうだな」
「おい、まだそう言うのかよ」
笹木はまだ優勝と言う中西には思わず突っ込みを入れた。
「おっさんは」
「いや、阪神は今年こそな」
「優勝かよ」
「その無理って言われる中でもな」
それこそというのだ。
「奇跡が起こって」
「阪神優勝かよ」
「そうなるんだよ、絶対にな」
「無理に決まってるだろ」
笹木は中西に笑って告げた。
「絶対にな」
「絶対にかよ」
「そうだよ、どうして優勝出来るんだよ」
阪神がというのだ。
「そのゲームの攻略本でも書いてただろ」
「けれどな、このゲームキャンプもあるし二軍では育成も出来るからな」
「それでかよ」
「強くなってな」
そのうえでというのだ。
「優勝出来るだろ、だから実際もか」
「キャンプで強くなってか」
「若手も育成してな」
「強くなって優勝か」
「絶対にそうなるからな」
「だったら毎年最下位じゃねえだろ」
笹木はこの現実を指摘した。
「阪神は」
「いやいや、本当に若手が出て来てな」
そのうえでとだ、まだ言う中西だった。
「今年はな」
「優勝かよ」
「そうなるからな、投手陣はもう揃ってるんだ」
それでというのだ。
「後は野手でノムさんも必死になって育ててるんだ」
「それでか」
「阪神優勝するからな」
「絶対に最下位だよ」
「そうならないからな」
断じてと言う中西だった、そしてだった。
中西はこの年も阪神の最下位を見た、だがその直後に。
笹木にだ、驚いて携帯で連絡をした。
「星野さんこっちに来たな」
「俺もびっくりしてるよ」
笹木は携帯の向こうの中西に実際に驚いている声で応えた。
「嘘だろ、これ」
「けれど嘘じゃないぞ」
「星野さんが阪神の監督か」
「これで本当にな」
「だから優勝はないだろ」
「いや、絶対にだよ」
「優勝するっていうんだな」
「今年の阪神は期待していろよ」
「ああ、期待しないでおくな」
冷めた声で返した笹木だった、そしてこの年はなかったが翌年にだった。彼等はそのまさかを見たのだった。外国人助っ人ではなく助っ人監督によって優勝した阪神タイガースを。
幻の助っ人 完
2018・11・26
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