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ダグラス君
第七章

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「パトロールとかしてるんだよ」
「あの人ご自身が言ってたみたいに」
「そうだよ、大抵夜に動いてるけれどな」
「映画館とか図書館にも出入りしてるって言ってました」
「そこで会う時もあるからな」
「会った時はですか」
「挨拶位しろよ」
 坪川は勝手にこう話した。
「何しろ基地では一番偉い人なのは事実だしな」
「だからですね」
「ああ、しっかりとな」
 そこはと言うのだった。
「しておけよ」
「わかりました」 
 こうしてだった、勝手は銅像のことを受け入れた。というか厚木にいる限り受け入れるしかないことを理解した。
 それで銅像を見る機会があれば見たが。
 昼は確かに大抵その場所にいるがいない時がたまにあり彼はそうした時は同僚達に考える顔で言った。
「今はいないですね」
「ああ、図書館か?」
「それか映画館か」
「何処かに行ったか?」
「そうしたか?」
「そうなんですね」
 その今は主のいない座を見て言った。
「実際にお昼にいない時もあるんですね」
「ああ、別に大したことじゃないさ」
「厚木じゃ普通だよ」
「いる時があればいない時もあるんだよ」
「いない時はパトロールか娯楽だよ」
 そうしたことをしているというのだ。
「パトロールはしっかりしてるからな」
「それでアメリカ軍や自衛隊の人を結構助けてもいるからな」
「あれで有り難い人なんだよ」
「元帥で生まれた時から偉そうだったそうだけれどな」
 ぞの人格は傲岸不遜だったと言われている。
「それでもな」
「今も厚木の基地の為に働いてくれているんですね」
「悪い奴等を見付けて懲らしめてくれたりな」
「じゃあ本当にいい人ですね」
「俺達自衛隊にとってもな」
 そうだとだ、坪川は勝手に笑って話した、とかく銅像は彼が所属していたアメリカ軍、陸軍と海軍の違いはあれど祖国の軍隊ということで大事にしているこの軍隊だけでなく海上自衛隊の為にも主に夜にパトロールをし不正を見付け正し正しい行いをした者達は褒め事故も事前に防いだ。そうした行いをしているうちに。
 海上自衛隊員の中から彼をゆるキャラとしてデフォルメしようという話が出た、そうしてだった。
 基地司令もそのアイディアに乗って海上自衛隊厚木基地の非公式マスコットゆるキャラとして銅像を二頭身にして可愛い感じにした萌えキャラが誕生した、そのキャラの名前は。
「ダグラス君か」
「はい」
 勝手は自分が当直の時にまた事務所に来た銅像に答えた。
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