それで、あなたは何が出来るんで?
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
とやらを口に入れて転がしている。やがて一頻り泣いて落ち着いてきたのを見計らってシュートが語りかける。
「ニナさん、落ち着いて。貴女は自分の事を卑下する必要はない……特別な事は必要がないのです」
「ふぇ?」
グスグスと愚図つく鼻を啜り上げるニナ。
「私は貴女を試したのですよ。申し訳ない」
そう言って頭を下げるシュート。
「ええぇぇぇ!?あ、頭を上げて下さいシュートさん!それよりも試したってどういう事ですか?」
「私の仕事である口入れ屋というのは、非合法な仕事です。決して綺麗事だけでは成り立たない……そういう場合に契約を結ぶ相手に最も必要な物は何か、解りますか?」
そうシュートに問われても、全く解らない。首を左右に振るニナ。
「それは『信用』です。誠実さ、と言い換えてもいい。赤の他人を然るべき場所に紹介し、そこで仕事をさせる……そしてその紹介した人物が何かしらの問題を起こせば、その責任は私にも降り掛かる。よくよく考えれば恐ろしい事ですよ、これは」
しかし私はこれしか出来ないのでね、と苦笑するシュート。
「そんな時に最も大切なのは相手が信用に足るかどうか、その一点に尽きます。信頼ではなく、信用という所がミソですね」
信頼とは相手の力量を信じて頼る事である。しかし、悪く言い換えてしまえば手に負えない事を丸投げするとも言える。対して信用は相手の力量を信じて仕事を与え、用いる事だ。そこには信頼よりも深い絆が生じる。頼るのではなく、責任を持たせて信じて用いる事で、相手にも責任感を生じさせてその能力を引き伸ばす……それが信頼と信用の違いです、とシュートは語る。
「貴女の今の独白は正しく、貴女の純粋な心を表す物だった。私はその貴女の美しい涙こそ、信用に足る物だと判断しました」
「じゃ、じゃあ……?」
「えぇ、貴女のこれからの人生に私が口入れさせて頂きましょう」
朗らかな笑顔を浮かべるシュートに再び泣き崩れるニナ。
「さて、そうと決まれば貴女にも私の秘密を明かさねばなりませんね」
「シュートさんの秘密……ですか?」
「えぇ、私は【鑑定スキル】が使えるのですよ」
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ