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問題児たちが異世界から来るそうですよ? 〜無形物を統べるもの〜
一族の物語 ―交わした約束― 中断
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して一輝の能力とか。その全てを知ってるの?」
「ええ、知ってると思いますよ。箱庭からは観測不可能な領域ですけど、彼女はその特殊な霊格故に全て知っているはずです」
それもあって面白がってついてきたんでしょうねー、と。はっきり言ってくれたが、まあ、つまり。
この場で湖札に聞かなければならない情報は存在せず。
なんならヤシロに答えさせることが出来ればより深いところまで知ることができ。
こちらがどこまでの情報を抑えているのかを知られることもなく。
戦う上での方針を考えることまで出来てしまうのである。
なんてこった、10ヤシロのほうがいいじゃねえか。
「そう言うことなら、この場でこれ以上の質問はナシでいい。そっちの出してきた条件は全て飲む、その上で再開までの期間をよこせ」
「いいですよ、そっちとしてはどれくらい欲しいですか?」
「一ヶ月は最低でも、欲を言えば二ヶ月は欲しい」
「おやおや、欲張りなことで」
そう言いながら、飲み物がなくなったためか倉庫から日本酒を取り出し、一口煽る。兄と違ってめっぽう酒に強い彼女はただ言い訳のためにそれを飲み。
「でも、いいですよ。個人的にも交渉に飽きてきましたし、それくらいなら許容範囲です。間を取って一月半あげましょう」
「いいのかよ、そんなによこして」
「問題ないですよ。それで必要な謎を全て解き明かしたのなら兄さんは好敵手として喜ぶでしょうし、そうでなかったのなら現状と何も変わらないというだけのことですから。悪化しないことだけは間違いないでしょうし」
さらに、一口。瓶から直接酒を口に含み、香りを楽しみながら嚥下する。
「あ、いりますか?」
「いらん」
「ですよねー」
さらに一口、二口。
「それで、他に確認はありますか?」
「ねぇよ、もうこれでしまいだ。酌が欲しけりゃ黒ウサギを貸してやるからとっとと帰れ」
「黒ウサギはお気軽貸し出し要因ではないのですよ!?」
「あ、大丈夫です。兄さんに頼むので」
「しれっと断られるのもそれはそれで辛いものがあります!!」
面白い人ですねー、と言いながら立ち上がる。手に握る瓶を傾け、大地へと酒が飲み込まれていく。ドプリ、ドプリとこぼれ、酒気がその空間へ満ちてゆく。古来より人の認識をズラし、時に神すらを惑わせるのが酒の効力。であればこそ、酒気の中に立つ彼女の姿は揺れ、薄れ……陽炎の如く、消える。
その場に残されたのは、審判が一人に変わらず挑み続けるプレイヤーが三人。机の上には、追加事項が記されたモノクロの契約書類が一枚。
はてさて、彼らは真実へとたどり着けるのだろうか。それはまだ、誰にもわからない。
だが、もしも。彼らが完璧な真実へとたどり着いたとして……その時、自ら暴いた真実を前にして。彼らは戦う
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