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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
一族の物語 ―交わした約束― 中断
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すね」

そう、答える。

「それは、人間の観測しうる範囲において?」
「いえ、それより前の時間においても。私や兄さんが生きてきた時間軸で語らせてもらえば、それが誕生したときには既に。日本という国の始まりで語るのならイザナギ、イザナミの国産みから始まります。巨人の死体が大地となった場所であればその通りに、様々な国に伝わる国の始まりの神話がそのまま国の始まりです。勿論、さらに遡れば神が手を付ける前の世界があります」

一騎に語られた、かなり長いその答え。あからさまに何か情報があると言わんばかりであるが、この場でそれを考察し、問うたところで正誤すら返ってくるはずがないのだ。一旦この情報は脇において、他に質問しておくべきことがあるかを考える。
考えて、考えて、考え続けて……やはり情報がなさ過ぎて、対して出ては来ない。

「出てこないようでしたら、繋ぎに一つ忠告をば。十六夜さん、ちょっと手をこちらに伸ばしてください」
「は?」
「いいですから、ほらほら」

言われ、まあ現状害することをすれば審判によってとがめられる状態だ。であれば問題ないかと、言われたとおりに手を伸ばす。その手を取り、しっかりと伸ばさせる。

「さて、黒ウサギさん。一つ言っておきますね」
「はい?」
「これはあくまでも、忠告ですので。そういうことで一つ、よろしくお願いします」

というや否や。ポケットから取り出したナイフを握り、その肌に乗せる。
はっきり言って、意味が分からない。十六夜は保有している獅子座の太陽主権によって切断という概念に対する絶対的守護を保有している。その状態に対してナイフを当てたところで何があるのか、と。

しかし、そんな当たり前が当たり前に起こるのであれば。今彼女は、ナイフを取り出してなどいない。少しだけ力を入れて、スッ、と引く。十六夜の肌が薄く切れ、血がプクッと湧く。

「何……?」
「とまあ、こんな調子で」

ナイフを放り捨て、話を続ける。

「私にも確実にその守りを破る方法が一個ありますし、いけるんじゃないかな、って方法ならまだまだありますから。どこまで耐えられるのかをちゃんと実験してみるべきだと思いますよ?」
「実験、つってもな……」
「私なら、奴隷を10人くらい買ってきて死ぬまで実験します」

確かにそれは、確実な方法である。箱庭世界において奴隷を取り扱う商売が存在しないわけもない。そういう意味では、そのやり方は確実なものと言える。しかし、倫理観と照らし合わせたのなら……

「……ヤシロは」

そんな葛藤故か。実験動物たるマウスとも会話できる耀が、食肉用に育てられていると知ってる動物と会話したことのある耀が、言葉を再開する。

「ヤシロは、このゲームのクリア条件、鬼道の霊格に関わる全て、そ
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