95話:皇女の闘い
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「ちなみに婚約祝いの事じゃがな、そちの後見人は養子に等しい者たちに少将への昇進祝いに『男爵株』を添えたそうじゃな。さすがに皇女の婚約祝いに何もせぬわけにもいかぬ。『伯爵』が『男爵株』を贈るなら、『皇帝』は『公爵株』を贈るべきなのであろうが、空いている公爵株は、カストロプじゃからな。さすがに慶事にはふさわしくなかろう......。
宮内省に候補を上げさせたのじゃが、断絶した武門の家柄で『ローエングラム伯爵家』があってな。軍部の重鎮となる家柄として丁度良いと思うのじゃ。異議がなければ帰還した際に継承の議を行う事にするが、それで良いかな?」
「陛下、ディートリンデへのご配慮、ありがとうございます。武門の家柄ともなればミューゼル卿も喜ぶでしょうし、伯爵ともなればさらに自重も意識いたしましょう。グリューネワルト伯爵夫人もなにかとご心配のご様子でした。これで少しはご安心されると存じます」
「陛下。ご配慮ありがとうございます」
陛下は確認すべきことが終わったという感じで、再び和やかにお茶を飲み始めた。ただ、一瞬雰囲気が変わったし、お母様もお礼を述べつつも、一瞬わたしに視線を向けた。本来ならラインハルト様が『ベーネミュンデ侯爵』となり、2人で盛り立てるのが本筋だ。わざわざ別の家を継承させるという事は、万が一の場合、ベーネミュンデ侯爵家だけでも生き残れるようにという事なのだろう。
ここで色々なものがつながった。芸術の講師役でもあり、天才ピアニストのフレデリック様と婚約されたのを機に男爵家を継がれたマグダレーナ姉さまや、経営や政務の事を教えてくれ、今ではマリーンドルフ家の新規施策の旗振り役でもあるヒルデガルト姉さま達とたびたび話していた事だ。皇太子であった異母兄の遺児、マクシミリアン殿は、いないもののように新無憂宮の一角で養育されているし、立太孫もされる気配がない。
門閥貴族の領袖として、降嫁を許したブラウンシュヴァイク公とリッテンハイム侯を冷遇はしていないが厚遇する訳でもない。そしてリューデリッツ伯が私の後見人についた途端に、屋敷の中だけに留めていた私たちとの団欒を後宮の公の場である『バラ園』でも行い始めた事。陛下は『内戦』を起こさせるつもりなのだ。でもなぜ......。
「この宇宙から戦争を無くすためには必要なことなのだ、儂はそんな世界を生きて見る事は敵わぬだろうが、叛徒たちの社会が崩壊する前に宇宙を統一せねばならぬ。おそらく間違いは起らぬと思うが、もしアマーリエとクリスティーナが困る事になりそうであれば、口添えしてやってくれ」
ここで今更ながら、現在はなしている話題が『表向きの話』であることに気づいた。婚約するからには一人前の『皇女』として扱うとなのだろうが、なぜお母さまが『表向きの話』を禁じていたのかやっとわかった。団欒の場であ
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