95話:皇女の闘い
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な。『将来、軍の重鎮となるべく教育する』と申しておったが、昔から期待に応えてくれる男じゃった。そちの下にも家柄だけではなく、実績をしっかりあげている者どもが出入りするようになった。昔から周囲を巻き込んで楽し気なことをするのが得意であった。今でも変わらず楽し気なことをしておるし、優秀な後進も育ちつつあると聞いておる。軍部系貴族と辺境領主達の未来は明るいものとなろうな」
「陛下、リューデリッツ伯は不思議な方でございますね。色々と配慮は欠かざす、かといって配慮した事を公言するわけでも、恩に着せる訳でもございませぬ。お返しする機会があればと思っているうちに、他の面でも実は......。という事が多々ございました。伯爵家と子爵家で財務状況は異なるとはいえ、当初は戸惑ったことが懐かしく存じます」
私がお付き合いのある貴族と言えば、後見人であるリューデリッツ伯とそのご兄弟のルントシュテット伯とシュタイエルマルク伯位だ。そのお二人も頼られることをむしろ喜びとしている所があるし、頻繁に足を運んでくださる伯爵夫人方も、気持ちの良い方々だ。貴族とはそういう物だと思っていたが、むしろ少数派らしい。
「今更の事であろうな。幼少期には先代のルントシュテット伯が門閥貴族の横槍からなんとか軍部を守ろうと四苦八苦しておるのを見ながら育ったのだ。第二次ティアマト会戦の大敗で、多くの軍部系貴族が没落しかけたが、自家も『次期宇宙艦隊司令長官』と目された当主が戦死したにも関わらず、他家の支援に奔走しておったからな。長兄と次兄も、幼いころから知っておるが、しっかりした人物であった。そういえば、青年の頃からメルカッツは堅物であったな」
「私も、もともとは皇太子時代からのお付き合いと聞いておりましたが、お忍びで歓楽街で食事を共にしていたと聞いた時はびっくり致しました。メルカッツ殿も含めれば、当時のお忍び仲間が4人も元帥になっているというのも、今更ながらすごいお話でございますね」
「そうであろう?お忍びの場であった店は、今では縁起が良い店という事で、かなり繁盛しておるそうじゃ。特に戦勝の際は賑わうらしいが、部下に酒をふるまうのに無理する事が無いように、店のオーナーがなにかと費えを賄ってくれる事もその要因だそうじゃ。言うまでもないであろうが、そのオーナーはリューデリッツ伯なのじゃがな」
陛下が嬉しそうに話をされる。私たち3人だけの時にしかされない表情だ。そして少し雰囲気が違うが、リューデリッツ伯と話をするときも同じように嬉し気にされる。そして聞き及ぶ限りでは、公務の際にはそのような表情は出さないとのことだ。本当は『皇帝』になりたくなかったという話を聞いた事があるが、事実なのだろうか?母上から表向きの話は禁止されているので控えているが、本心を聞いてみたい気持ちもあった。
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