第五章
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「だからだよ」
「いや、ここからですから」
昨日のことは置いておいて強くに戻った中西だった。
「阪神大逆転して」
「優勝かよ」
「そうなりますから」
「なる筈ないだろ、まあ御前が応援することはな」
「そのことはですか」
「いいからな」
このことは別に困らないというのだ。
「好きなだけ応援しろよ」
「そうさせてもらいます」
「それじゃあ飯食うぞ」
「わかりました」
日常生活ではそのままだった、それでだった。
中西は工藤と共に朝食を食べた、そうしてこの日の仕事をはじめるのだった。そしてこの時から五年後。
中西は工藤と同じ艦にいた、階級は中西の方が上になっていたが彼は日本シリーズの三試合目を艦内の食堂で観て。
そのうえでだ、こう言った。
「三試合連続十点取られてるな」
「これはロッテ日本一ですね」
工藤がその中西に満面の笑みで言ってきた。
「残念でした」
「いや、残念じゃないですよ」
中西は青の作業服の工藤に紫の作業服姿で反論した。
「ここからですから」
「大逆転ですね」
「ロッテは十点しか取れないんですよ」
それならというのだ。
「こっちは十一点四試合連続で取ればいいんですよ」
「それ出来ます?」
「出来ますよ、ここから反撃ですから」
まさにというのだ。
「そうなりますから」
「どうですかね」
「阪神は優勝しますから」
「この状況でもまだ言います?」
「諦めたらそれで終わりですから」
あくまで言うのだった。
「ですから大丈夫です」
「そうでしょうか」
「絶対にそうですよ」
こう言ったが翌日中西はロッテの胴上げを観た、そして工藤に満面の笑みで残念でしたと言われた。あの時と同じ笑顔で。
ざまあ見ろ 完
2018・11・24
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