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永遠の謎
431部分:第二十七話 愛を呪うその一

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第二十七話 愛を呪うその一

               第二十七話  愛を呪う
 婚姻は延期され。さらにだ。
 王はこんなことも言い出していた。
「取り止めたい」
「御婚礼をですか!?」
「それを」
「そうだ。それをだ」
 遂にだ。こうしたことまで言い出していたのだ。
「止めたいのだ」
「あの、冗談ですよね」
「その御言葉は」
「そうですね」
 こうだ。周りは戸惑いながらだ。
 そのうえでだ。必死の顔で王に問うた。
「今のお言葉は」
「まさかと思いますが」
「それは」
「そうだな」 
 王の返答は今一つだ。何か要領を得ないものだった。
 そしてその要領を得ないままだ。また言う王だった。
「冗談だ」
「全く。脅かさせないで下さい」
「まさかと思ったではないですか」
「いや、本当に」
 しかしだ。王の言葉にだ。誰もが安堵した。
 そのうえでだ。彼等は口々に言った。
「とにかくです」
「式の準備は順調に進んでいますので」
「後はその式だけです」
「その日が来れば」
「私は女性と結婚する」
 王は今度はだ。誰にも聞こえない声でだ。
 こう呟くのだった。そしてさらにだった。
「何か。同性と結婚する様な」
「?陛下今何と」
「何と仰いましたか」
「一体」
「何でもない」
 ここから先はだ。王は言わなかった。聞こえると思ってだ。
 それで言わずにだ。ただ玉座にいるだけだった。
 そしてそのうえでだ。その日を虚ろに待っていた。
 こうしたことがあった。殆んどの者がこのことを冗談に過ぎないと思った。
 しかしだ。そのことを聞いてだ。オーストリア皇后は。
 眉を顰めさせてだ。こんなことを言った。
「間違いありませんね」
「間違いないとは?」
「何かあるのですか」
「それでは」
「この婚礼は破綻します」
 そうするというのだ。王と彼女の妹の結婚は。
「バイエルン王は冗談を言いはしません」
「そうした方ですか」
「あの方はですか」
「そうなのですか」
「そうです。決してです」
 こう話すのだった。王について。
「ですから。あの方は」
「結婚をですか」
「取り止められる」
「そうされますか」
「元々。実現する筈のないことでした」
 バイエルン王の結婚はだ。そうしたものだというのだ。
「あの方は女性を愛せない方なのですから」
「以前より仰っていることですね」
「そうした方だと」
「そうですね」
「このことによって」
 皇后は今度はだ。オーストリア皇后としてだった。

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