第四章
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「中に戻るぞ」
「わかりました」
「ラッタルのところ気をつけろよ」
「急ですからね」
艦内の階段部分だ、実際にその角度はかなり急だ。
「だからですよね」
「ああ、足滑らせたら大変だからな」
怪我をするからだというのだ。
「注意しろよ」
「わかりました」
「かなり飲んだからな」
中西のこのことを把握しての言葉だ。
「足元に注意してな」
「居住区に戻ります」
「そうしような」
大野は中西が無事にラッタルを降りて居住区を降りるまで傍にいた、そうしてこの日は別れたのだが。
翌日も大野は阪神のことについては辛辣で中西に言うのだった。
「だから野手をどうにかしろ」
「新庄いますよ」
「新庄打率悪いだろ」
とかくこのことが問題だというのだ。
「他のバッターも打たないだろ」
「それは気のせいです」
「数字で出てるぞ」
嘘を吐かないそれにというのだ。
「攻撃時間短いしな」
「得点もですか」
「少ないしな」
こちらも駄目だというのだ。
「確かにピッチャーはそれなりだけれどな」
「バッターが駄目ですか」
「守備もな」
「エラー多いですか」
「連携も今一つだしな」
「だから勝てないっていうんですか」
「最下位なんだよ」
下手に勝てないどころかというのだ。
「それ御前もわかってるだろ」
「私前向きですから」
中西は大野に笑って答えた。
「いい部分は見てます」
「悪い部分も見ろよ、とにかくな」
「阪神は野手ですか」
「そっち何とかしないと駄目だろ」
大野は中西に冷静に話した、だが。
中西は実は頭ではわかっていてもだ、まだだった。
阪神の優勝を言い続けた、それで大野もその都度いい夢見ろよと言ったが。
ある日だ、阪神が連敗した時に中西に艦内で笑って言った。
「また負けたぞ」
「いいハンデですよ、ここからです」
まさにというのだ。
「大逆転ですよ」
「猛虎復活か?」
「はい、そうなりますよ」
「猛虎じゃないだろ」
大野は中西に笑って言った。
「駄目虎だろ」
「あっ、そう言います?」
「最下位なら言われても仕方ないだろ」
駄目虎と、というのだ。
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