暁 〜小説投稿サイト〜
問題児たちが異世界から来るそうですよ? 〜無形物を統べるもの〜
一族の物語 ―交わした約束― @
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た状態、手数の多さによる力技の詰み!
「アルマ!」
『長くは持ちませんよ、マスター!』
飛鳥が命令を下し、アルマがそれに従って二人を包み込む。あらゆる攻撃を防ぐギリシャ神群最強の盾・イージスの疑似具現。そう簡単に打ち破れる代物ではなく、時間を稼ぐことは可能なはずだ。
……はず、だった。
音もなく、さも当然のことであるかのように球体の内側へ現れた男の手。当たり前のように貫いてきたそれは、一輝の手刀であった。
「ありゃ、いないか。じゃあ次はこの辺りを」
手刀で貫いてきたということは、本当にすぐそばにいるということ。しかもいるのは一輝だけではなくもう五体の霊獣もいるのだろう。その状況で球体を解除して逃げようとしたなら、確実にどちらかは捕まる。しかしこのまま籠城することも不可能、これ以上繰り返せばいずれ壊滅するのは間違いない……!
「そこまでです!」
と、そのタイミングで。雷鳴と共に響いてきたのは、黒ウサギの声。
審判権限の制限によって主催者の同意なくゲームへかかわることが難しい彼女が、ゲームに対して口を出してきた。それが許されたということは、つまり。
「“
審判権限
(
ジャッジマスター
)
”の発動が受理されました!これよりギフトゲーム“一族の物語 ―交わした約束―”は一時中断し、審議決議を執り行います!プレイヤー側、ホスト側は共に交戦を中止し、速やかに交渉テーブルの準備に移行してください!」
黒ウサギの宣言は、繰り返される。しかし球体の中にこもる二人の耳にそれは届かず、一輝の手によってあけられた穴から入る彼の声が届く。
「おー、受理されたのか。ワンチャンされないだろうなぁって思ってたんだけど……ま、有り得たことではあるんだよなぁ」
と、そう告げつつ。展開した異形たちもすべて収めて、言葉を交わす。
「交渉場所、時間なんかは後で式神をよこすからそいつに知らせてくれ。んじゃ、またゲーム再開後に」
やはりいつも通り、何でもないことのように。次に遊ぶ予定を告げるくらいの気軽さで用件を伝えて、立ち去っていく。
「……ひとまず、だけど」
「乗り切った、のかしら?」
ゲーム中断という緊急避難的目標をクリアできたのだ、と。その事実をようやく理解して。
二人は背中合わせに、球体の内側で崩れ落ちた。
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