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問題児たちが異世界から来るそうですよ? 〜無形物を統べるもの〜
一族の物語 ―交わした約束― @
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まじな》い。金縛りの術と封印の術を混合した、停止の封印。意識の封印、物理的な封印が共に無意味であると考え、局所的な空間に対し時間の流れを書き換え行われた封印。
勿論、これで完全に封印できる、なんてことはありえない。なにせ対象が逆廻十六夜なのだ。この程度の封印、物理的に破壊するというありえない手法を取るにきまっている。
故に、行動は迅速に。自分への勝ち目がなくなるよう、主力を削る。
「遅かったな、レティシア」
「一輝が絡め手を使うとは思ってなかったからな!」
いっそ突進気味に槍を構えて突っ込んできたレティシアに師子王を抜いて応戦する。三合ほどの打ち合い、二人の足元では互いの影がその身を喰らい合う。
「なるほど、アジ=ダカーハの龍影か」
「ま、そういうことだ。それと、あらかじめ謝っとく」
「何……?」
「……火気は身を焼き魂を清める聖火。水気はその存在を遮断する流れ」
紡がれる言霊。それに伴い、一輝の腰から対応する呪符が宙を舞う。
「金気はその存在を討つ聖銀。木気は彼の邪を払う穀物を」
紡がれる言霊へ、レティシアは内心ひたすらに首をかしげる。今一輝が語ったそれは、確かに吸血鬼に対して有効であると言われるモノだ。しかし、それは後世に詩人が語ったもの。そうして作り出された歪みを彼女は一切保有しておらず、全て妹が引き受けた。
その歴史はレティシアにとって最大の屈辱でしかないのだが、感情と事実は違う。レティシアに対して弱点となりうるものは太陽に光ただ一つのみ。
故に、気にする必要はない。このまま攻め続け、合流した二人二封印を解かせる。それでいい、このまま攻め続ける。
そんな考えがあまかったのだと気づくのは、数秒の後。
「……何?」
呪符から伸びた植物が自身の腕を掠った瞬間。そこについた傷と走った痛みから、本能的に「これはマズい」と理解する。浴びたことはないが、太陽の光と近しいもの。
理解が及べば行動は早い。なぜそうなっているのかはまるで分らないが、自身の勘がこれを危険だと直感している。体はそれを信じて躊躇うことなく動き出すが、
「
鬼祓
(
きばらえ
)
・
吸鬼
(
きゅうき
)
の陣。急急如律令」
既に術は、完成している。
金行札から生成された銀の十字へ拘束され、水流、聖火、忍辱の三物によってその身は蝕まれる。容赦もなく、また同時に正々堂々という言葉もない相性による攻撃。陰陽師という狩りを生業とする者としては正しく、主催者という挑戦者に対して試練を与える立場としては大きく間違っているその行い。
しかし当然のこととして。この場で正しさというモノは、なんの力も持たず。間違いであるという事実は、何一つ縛りはしない。
言霊の矢によって植え付けられた絶対的な相性。全身を犯す天敵の存在へ耳を劈くよ
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