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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
一族の物語 ―交わした約束― @
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を読むことが容易なのだ。


契約書類は現れた。ゲームの開幕はすでに告げられている。単純化された作戦を決行することが参加者側の最適解であるのに対して、主催者側の最適解は?
答えは、これもまた単純。

「吹っ飛べ、十六夜!」

先手必勝。策を読み、読めなかったとしても最大の戦力を真っ先に叩く!
反応される前に十六夜に接近し、ダメージを与えることではなくその位置を他のメンバーから離すことを目的とした一撃。内側へ入り込み、腕を振りぬき十六夜を殴り飛ばすと、その勢いを殺すことなく回転し、レティシアへ向けて一矢射った後に距離を取る。

「おや……?」

放たれた矢をレティシアは当然防いだ。最初の一発であればともかく、二撃目以降を防げないほどの素人ではない。射線へ槍を置き、確実に防いだ……はずなのだが。

「手ごたえが、ない?」
「レティシア、加勢急いで!」

槍に矢が当たった感触はなく、その現実を訝しむ。その疑問は当然のものだ。確実に防いでおり、その矢が当たった感触はない。にもかかわらず、防いだ感触すらない。ともなれば特殊なギフトではないかと疑うのが当然の流れではあるものの……
今は、ふっ飛ばされた十六夜の心配をするべきだった。

ふっ飛ばされた先。威力ではなく飛距離を重視したが故に今にも合流へ向け動こうとしていたため、腰から札を取り出して躊躇うことなく投擲する。

「火気招来、急急如律令!」

呪符を介して招聘される、普通ならざる炎。基礎中の基礎の陰陽術ではあるが、術者の腕が高ければそんなことは関係ない。基礎中の基礎の術は、必殺の一撃となりうる。例外の一撃。
しかし、例外は一輝だけの特権ではない。

逆廻十六夜もまた、例外の人間。その拳は山河を砕くだけにはとどまらず、ギフトによる形無き現象をも砕く。故に、炎というそれは格好の的である。
では、炎以外であれば?

「火気の後に灰あり、土に還れ。火生土、急急如律令」

炎は砕かれる直前、大量の土へと姿を変える。インパクトの瞬間は躱され、与えた影響は拳の風圧によって一部の土が飛んだのみ。その多くは十六夜を覆うように降りかかる。大量の土が、十六夜を埋めた。
そして当然、それでは終わらない。

「大地より鉱物は生まれる。土生金、急急如律令」

ただの土塊で封じられるわけもなく、その土を全て金属へ変換する。呪術によって生成されるそれ、その金属塊へさらに呪符を貼り、九字を切りながら続ける。
時間との勝負、脱出されるより前に、その術を決行する。

「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・前・行。オン・ビシビシ・カラカラ・シバリ・ソワカ。(いにしえ)の九字、金剛の(しゅ)をもって、ここに停滞の封を」

対象物、そしてその中へ向けて用いられる封印の|呪《
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