機動戦士ガンダム
2235話
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3を離れたのは小さい頃だった事を思えば、それもしょうがないでしょう」
セイラはギレンとの間にそのように言葉を交わす。
セイラにしてみれば、ギレンは……いや、ザビ家は父親の仇だ。
いや、正確にはザビ家がジオン・ズム・ダイクンを暗殺したという証拠は残ってないので、本当に仇なのかと言われれば微妙なところなのだが……父親の死後、誰が一番得をしたのかという事を考えれば、一番の容疑者は当然のようにザビ家となる。
また、ザビ家によって派遣された暗殺者に殺されそうになった事もあると聞けば、セイラがギレンに対して色々と含むところがあるのは間違いないだろう。
ちなみに、ギレンとセイラでは格としてはルナ・ジオンの女王たるセイラの方が上だったりする。
ギレンもジオン公国の総帥という立場ではあるし、実質的に現在のジオン公国を動かしているのは間違いない。
だが……名目上の事ではあるが、ギレンの上にはまだデギンという地位が上の人物がいるのだ。
それに比べると、セイラはルナ・ジオンの女王。
そういう意味では、本来ならギレンがセイラに敬語を使う必要があるのかもしれないが……セイラとギレンという風に地位を抜きにして本来の能力だけで考えれば、やっぱりギレンが上なのだ。
もっとも、これはあくまでもギレンとセイラが国を率いてきた年期によるものだ。
ギレンはそれこそ10年近く国を運営してきたが、セイラの場合は父親がジオン・ズム・ダイクンであるとはいえ、数ヶ月前までは医者になる為の勉強をしていた。
一応シャドウミラーと関わるようになって、シェリルから演技指導を受けてカリスマ性はかなり発揮するようになったし、エザリアのような政治班の面々から政治についても教えて貰っているので、将来的には能力の面でも逆転出来そうな気はするのだが。
俺がそんな風に考えている間にセイラとギレンの挨拶は終わったらしく、ギレンがこちらに向けて口を開く。
「さて、では挨拶はこの程度にして……コンペが始まるのはもう少し掛かるので、もう少しお待ちいだたきだい。席の方は……あの辺りでどうだろうか」
そう言ったギレンが示したのは、巨大なスクリーン……恐らくコンペの際の映像が映し出される代物の近くにある席だった。
言ってみれば、映画館のスクリーン一番前といったところか。
……何気に、一番前すぎてスクリーンの全体をしっかりと見る事は出来ないんだよな。
まぁ、コンペとかの映像なら、そこまで問題はないんだろうが。
そんな風に思いつつ、俺達は素直にギレンに示された席に向かう。
本来なら、一番前……つまり背後にジオン軍の面々が配置されているというのは、色々と不味いんだが……ぶっちゃけ、この世界の人間が妙な真似をしようとしても、殺気を隠すといった真似は出来ない。
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