420部分:第二十六話 このうえもない信頼その十三
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第二十六話 このうえもない信頼その十三
「マルクスの言う革命なのだ」
「そしてその革命においてなのですね」
「血だ」
王は言った。
「多くの血が流れるのだ」
「そうですね。それではそのまま」
「フランス革命だ。彼は決して新しいことを言っているのではない」
「確かに。共産主義革命といっても」
「フランス革命なのだ。そして共産主義者は」
「ジャコバンですね」
ホルニヒにもわかってきていた。王とのこれまでの話でだ。
「彼等は」
「革命は血を欲する」
よく言われる言葉を。王も言った。
「その対象はだ」
「資本家や貴族だけでなく」
「教会、そしてだ」
「王や皇帝にもですね」
「最後には自分達にも向けられる」
そこまでだ。王は見抜いていた。
「最終的には労働者や農民もだ」
「殺していくのですね」
「それがあの共産主義だ」
「ではマルクスの批判は」
「裏がある」
そうだというのだ。共産主義者の行動は。
「彼等は危険だ。今欧州は無政府主義や虚無主義があるが」
「そしてですね」
「暗殺もだ」
即ちアナーキズム、ニヒリズム、そしてテロリズムだ。その三つのものが欧州を覆っていた。ロシアから来てだ。そのうえでなのだ。
王はだ。彼等について話してだ。
「そしてそれ等全てがだ」
「共産主義の中にあるのですね」
「だから余計に危険だ」
「彼等は無政府主義でもあるのですか」
「若し革命が為されないのなら」
それならばだというのだ。どうなのかとだ。
「彼等は全てを破壊する」
「政府もですか」
「彼等は自分達以外の秩序を求めない」
「自分達が全てなのですね」
「自分達以外の全てを嘘偽りだと考えている」
「だからこそ教会も」
「彼等の無神論は虚無主義なのだ」
王はこのこともわかっていた。共産主義者の言う無神論もだ。
それも全て見抜いてなのだった。彼は話すのだった。
「全ては危険なのだ」
「彼等の主張は」
「そして存在もですね」
「そうだ。彼等は自分達が全てなのだ」
「それが彼等の言う革命ですか」
「革命とはそうしたものだ」
王は共産主義者達にもだ。その深い洞察を見せた。
そしてだ。話すその言葉は。
「自分達が全てに。神になるのだ」
「そういえばジャコバンは」
「そうだな。彼等が最初に神を否定していたな」
「それは教会への反発ではなかったのですか」
「実は違っていたのだ」
そうだったというのだ。
「彼等は自分達以外の存在をそもそも認めていなかった」
「だからこそ教会も貴族も」
「そして彼等が言う民衆もだ」
そうしただ。全てをだというのだ。
「そして意に添わぬ者達を殺戮していったのだ」
「あの革命で多くの者が死んだのは確かですね」
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