93話:婚約
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閥貴族が出来れば、帝国を本来あるべき姿に戻すこともできると思うのだが、伯はどうお考えかな?」
「確かに我ら『本物の貴族』が結集すれば出来ぬことは無いと思う。だが、ランズベルク伯爵家は過去に新無憂宮の秘密地下通路の建設をお任せいただいた家柄です。帝室に弓引くような事は致しかねますぞ?」
御二人の言う事も分かるが、『ランズベルク伯爵家が裏切ることは無い』とご信頼頂けたからこそお任せいただけた名誉を潰すような判断はできない話だ。
「我らもそんな事は考えていない。だが、実際問題として帝室の唯一の男系は下級貴族出身の皇太子殿下のメイドが母親だ。至尊の冠を戴くにはとてもふさわしいとは思えぬ。年齢も幼く、軍部の独走や政府の体たらくを押さえる事は期待できぬ。一方、年齢も彼より年長で、しっかりとした実力者が父親の血縁が二人、存在している。候補者を一本化するのは現段階では難しいが、どちらかが至尊の冠を戴くことになれば本来のあるべき姿である『貴族の時代』に戻せるはずだ。十分、結集する理由にはなると思うのだが......」
「そういう話であれば、確かに門閥貴族が結集する事もかないましょう。実現できれば、帝国の歴史に『あるべき姿』を取り戻した有志として、名を遺す事にもなりましょうな」
どちらのご令嬢が至尊の地位に就くのかは分からぬが、志ある帝国貴族なら今の有り様に眉をひそめておろうし、『貴族の時代』を取り戻すというのなら、協力を拒むものはいないだろう。
「伯にそう言ってもらえてうれしく思う。既にコルプト子爵を通じて、リッテンハイム侯爵家の一門の方々とも連絡を取り合っているのだ。伯にもこの義挙に参加してもらい、有志を募ることをお願いしたいのだ。伯が参加してくれれば、心強いのだが......」
「何を水臭い。我らは共に帝室への忠誠を高めあった仲ではありませんか。このランズベルク伯アルフレット、義挙に参加できることを嬉しく思いますし、御二人の帝室への忠誠に改めて感嘆の極みを感じております」
この日から、私も『帝国のあるべき姿』を取り戻す有志のひとりとなった。門閥貴族が結集できれば、この帝国で成らぬことなどない。寄り子を含め、今から声をかけるのが楽しみだ。皆進んでこの義挙に参加してくれるに違いない。
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