93話:婚約
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
うのが私の本心だった。
宇宙歴795年 帝国歴486年 3月上旬
ブラウンシュヴァイク星系 惑星ヴェスターラント
アルフレット・フォン・ランズベルク
「ランズベルク伯、此度は我らのお誘いに応えて下さり感謝しております」
「御二人とも水臭いですぞ。我らは学友であり帝室への忠誠が篤き同士のはず。それに屋敷に籠っていても良い詩は浮かばぬし、この惑星は我が領とはまた違う趣がある。お誘い感謝しておりますぞ」
我らの世代から、門閥貴族は幼年学校や士官学校ではなく、門閥貴族の子弟限定の教育機関で学ぶことになった。このお二人は当時から帝室への忠誠心に篤く、帝国の藩屏たるブラウンシュヴァイク公爵の一門として、いずれは責任ある役職に就くのだと、励まれていた方々だ。詩や小説を書くことに熱中していた私には過ぎたる学友だが、何かと季節の催し物でかをお会わせる機会もあり、交流が続いている。
「それで、本日のご用向きは何でしたかな?久しぶりにお二人に会えただけでも私は嬉しく思うが......」
「うむ。ランズベルク伯は現在の帝国の有り様をどう思われるのか、一度話を聞きたいと思ったのだ。我らは学び舎で行動を共にする頃から『帝室への忠誠』を共に高め合う仲であった。我らは現在の帝国がルドルフ大帝がお考えになられた有り様とは大きく異なる様に思えてならぬのだ」
「確かに、本来なら我ら門閥貴族が果たすべき役割を軍部貴族が担っているようなところはありますな。それに政府系貴族の体たらくもいささか悲しいものがあります。ましてや強欲が過ぎたとはいえ『公爵家』がお取り潰しになりましたし、『寵姫の弟』と皇女殿下を婚約させるなど、重視されるべきものが軽視される風潮があるようには思いますが......」
我ら門閥貴族の子弟が、幼年学校や士官学校から締め出されたのも、軍部貴族の暗躍があったとささやかれているし、ブラウンシュヴァイク公とリッテンハイム侯が了承された以上、深いお考えがあったのだろうが、戦況を優位に進めているとはいえ、本来なら門閥貴族が得られた功績を独占してると見えなくもない。大逆罪以外で『公爵家』がお取り潰しになるなど前代未聞だし、『寵姫の弟』に皇女殿下を降嫁させるのも本来ならあり得ぬ話だ。
政府系の門閥貴族であるリヒテンラーデ侯爵家は実績の面ではカストロプ公の汚職に目が行き、パッとしないが、今回は候補者にも上がらなかったと聞く。今まで我らが大切にしてきた価値観を否定するようなことが次々と行われている。心ある帝国貴族なら、眉をひそめているに違いない。
「さすがはランズベルク伯だ。伯の言う通り、今の帝国の有り様は志ある帝国貴族なら容認しかねる状況にある。そもそもの始まりは軍部貴族が結託して動き出したことにある。同じことを、『本物の貴族』である門
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ