第十三話 この世には知らない方が幸せな事も有る
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
りさせねばならぬのだ』
「では一つお願いが有るのですが……」
『士官学校の教官増員の件なら問題無い、月内に辞令を出す』
「ありがとうございます。ですがその件では無いのです」
軍務尚書が警戒心も露わな表情をした。そんなに警戒しなくても……。俺は役に立っていると思うんだけどな。我儘も言わないし野心も強くない、扱い易い部下だと思うんだけど……。
「向こう十年間、士官学校校長のポストから動かす事は無いと表明して頂きたいのです」
『どういう事だ』
今度は胡散臭そうな顔をしている。此処は気にせずに困っている様な顔をしよう。同情を買うのが先ず第一だ。
「小官は軍の顕職を望んではおりません。ですがそれが分からずに小官を敵視する人間も居るようです。幸い教官の増員もして頂けるようですし士官学校教育の改善を十年間任せると仰って頂ければと」
軍務尚書が少し考える様子を見せた。
困っているんだよ。ラインハルトがいきなり反乱鎮圧を願い出るなんて思わなかった。貴族の反乱だぞ、反乱鎮圧が失敗してからなら正規艦隊の派遣も有り得るがいきなり正規艦隊を動かすなんて有るわけがないだろう。何を考えているんだか。軍務尚書には叱責されて八つ当たりで俺の事を非難しているらしい。ウンザリだ。ミュラーからも目立つなって怒られた。反乱鎮圧の直後だ、何で俺が作戦を立てたって分かるんだろう。
おまけに反乱を鎮圧した連中が士官学校に押し寄せてきた。シュムーデ、ルックナー、リンテレン、ルーディッゲ、フォーゲル、エルラッハ、リューネブルク、バーテルス、ファルケンマイヤー、全員だ。アルテミスの首飾りを攻略出来るなんて軍人の名誉としてこれ以上の物は無いそうだ。作戦を考えた俺に感謝している、どうしても礼を言いたいと言っていた。
フォーゲルとかエルラッハなんて原作では反ラインハルトの急先鋒だ。この世界でもラインハルトの事を姉の七光りとか増長者とか言って嫌っていた。いや、気持ちは分かるよ。ラインハルトの分艦隊司令官だったが第七次イゼルローン要塞防衛戦後の艦隊戦で動きが悪かったと評価されて分艦隊司令官を首になったからな。
二人にしてみれば自分の指揮が悪かったのに俺達の所為で負けた事にしやがったと不満が有っただろう。ルックナー、リンテレン、ルーディッゲもラインハルトには元々良い感情を持っていない。シュムーデ、そして装甲擲弾兵の三人もだ。彼らは俺こそが宇宙艦隊副司令長官になるべきだと言っている。その事もラインハルトを刺激しているらしい。
『良いだろう』
「有難うございます」
『次は何時レポートを出す?』
「……そろそろネタが……。前回のレポートもネタが無いので作った様な次第で……」
あれは偶然なんだよ。マクシミリアン・フォン・カストロプがアルテミスの首飾りを使うなんて思わな
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ