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銀河英雄伝説〜其処に有る危機編
第十三話 この世には知らない方が幸せな事も有る
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が有るのだろう。俺にも有る。

「ミュラー提督、後で卿の同期生に連絡してくれないか。巨大な氷でアルテミスの首飾りを壊す様な作戦を立てる人物に心当たりは有りませんかとね」
「小官がですか?」
ミュラー提督が表情に困惑を浮かべた。
「そうだ、私もそんな教え子を持ったとしたら教師冥利に尽きる。是非とも聞き出して欲しい」
クレメンツ提督の言葉にミュラー提督が“分かりました”と答えて溜息を吐いた。



帝国暦487年 11月 8日 オーディン 新無憂宮   エーレンベルク元帥



何時もの部屋に何人かの男達が集まった。今日は何時もより人が多い、帝国軍三長官と国務尚書の他にフレーゲル内務尚書、ゲルラッハ財務尚書が参加している。だが人が増えても陰鬱さは変わらなかった。
「それで、何が分かったのだ?」
「カストロプにフェザーンの商人が居ました」
私の答えに国務尚書が眉を上げた。

「既に去っていたのではないのか」
「マクシミリアンは運用実績を確認するまでは留まる事を命じたようです。金の支払いも運用実績を確認してから払うと言ったようですな」
国務尚書が“フン”と鼻を鳴らした。
「親が親なら子も子か。金に煩い所は良く似ているようだ」
「商人もアルテミスの首飾りに自信が有ったのでしょう。それを受け入れたようです。油断ですな」
また国務尚書が“フン”と鼻を鳴らした。

「それで、その商人、何者か?」
「アルバート・ベネディクト、軍には情報は有りませんでしたが内務省に情報が有りました。取り調べは内務省が担当しています」
私が答えると国務尚書が内務尚書に視線を向けた。
「ベネディクトは独立商人と称しておりますが実際にはフェザーン自治領主府と密接に繋がった男です。商人として活動する傍ら自治領主府の依頼を受けて非合法な活動、或いはその支援をしていたことが分かっています」

「内務省に情報が有ったという事はこれまで随分と目に余る動きが有ったという事か」
「はい」
フレーゲル内務尚書が答えると国務尚書が顔を顰めた。内務尚書は幾分面目無さげだ。国内の治安維持は警察の仕事だ。マクシミリアンを追い詰め反乱を起こさせるのが目的では有るがベネディクトの暗躍を許した事は内務省の失点で有るのは間違いない。叱責が飛ばないのは反乱鎮圧が上手く行ったからだ。そうでなければ厳しい叱責が飛んだだろう。ヴァレンシュタインは内務省にとっては天敵だな。いや、我らの髪の毛にとっても天敵か。

「ベネディクトを取り調べているのですが気になる事があります」
「それは?」
国務尚書の視線が鋭くなった。内務尚書は益々気拙げな表情だ。
「アルテミスの首飾りの情報を盗んだのはベネディクトとは思えません。彼の活動範囲は主として帝国です。反乱軍側に行った事は殆ど
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