第6章:束の間の期間
第182話「連絡と異常」
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力と霊力を回してくれ」
〈二つの力の調和はこちらにお任せを〉
「ええ。流すわよ」
優輝の合図に、鈴と司、奏で霊力と魔力を流す。
魔力はともかく、霊力は鈴一人だけでは賄いきれないので、司と奏が補う。
術式が起動するように輝き、機能し始める。
「………!」
「っぁ……!?」
「えっ……?」
「これって……」
その瞬間、全員が驚愕した。
別に術式がいきない瓦解したなどではない。
機能した瞬間に、反応を捉えたからだ。
「……“縁”が残っているのも納得ね……」
「これ……どういう事なの……?」
「……異常……なんてどころじゃ、ないわ……!」
異常があるのは、司と奏にもわかっていた。
ただし、どんな異常なのか把握できたのは優輝と鈴だけだった。
「……現世と、幽世の境界が薄くなってる……!」
「っ……それって……!?」
「表裏一体なはずの二つの世界が、一つになりかけてるのよ……!それも、大門が開いていた時と違って、お互いを害さずに!」
一瞬、司と奏は意味を理解するのに時間がかかった。
「例えるなら、水と油が混ざるようなものよ。……同時に、“混ざり合う”なんて火薬に火をつけるような危険な現象……なのに、それがない!」
「………」
現世と幽世の均衡が崩れれば、世界は崩壊する。
だと言うのに、“混ざり合う”などと言う均衡を放棄するような現象が起きた。
それは、今すぐにでも幽世の大門が開き、日本が滅びに向かう程の事だ。
……だが、それがない。だからおかしいと、司と奏も理解した。
「境界が薄くなる……と言うのは、別段おかしいって訳でもないわ。実際、幽世の大門が開いている時は境界が曖昧になるから……でも、今回は例外よ」
「例外……」
「“異常がないのが異常”。悪路王が現世に留まれるのも、幽世との境界が薄くなっているから。今でこそ何も起きていないけど、見逃せるものではないわ。……いや、起きていないからこそ、今すぐにでも何かしなければ……!」
爪を噛むように苛立ちを見せながら、鈴は推測を述べていく。
その顔にははっきりと焦燥が現れており、非常に焦っているのが見て取れた。
「貴方の見解はどうかしら?」
「……概ね同じ意見だ。……それと、原因に心当たりがある」
「……もしかして、“パンドラの箱”?」
鈴が優輝に意見を求め、優輝がそれに答える。
その答えに、司がふと思い当たったように呟く。
「その通りだ。あの得体の知れないロストロギアなら、あり得る」
「……そうだね」
幽世の大門を開いた原因。“パンドラの箱”。
通称すらない未知のロストロギアで、解析もなぜか
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