機動戦士ガンダム
2233話
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「お待ちしておりました。今回は私共の招待を受けていただき、ありがとうございます」
そう言いながらセイラに敬礼したのは、ジオン軍の少将。
仮にも少将が自分から出迎えに来るというのは、色々と常識外れの出来事なのだろうが……相手がセイラという一国の女王ともなれば、話は違ってくる。
もっとも、当然ながらジオン軍の中にはジオン公国と半ば明確な程に敵対している国の代表が来ているという事で、不愉快そうにしている者もいるが。
この少将のように笑って出迎えろとまでは言わないが、それでも表情に不愉快さを出さないくらいの芸当はして欲しいものだ。
「全く、なっちゃいないね」
そう小さく呟きながら俺達を出迎えたジオン軍人達を見たのは、シーマだ。
本来ならシーマではなくジェーンかルルーが一緒についてくる筈だったのだが、こうしてシーマが一緒に来たのは……以前セイラから聞いた話が最大の原因だ。
ニュータイプ研究所を襲撃して被検者達を助け出した人物の中にシーマがいた事がどこからともなく情報として流され、結果としてそれが原因でシーマの人気は以前よりも更に上がったと。
……で、人気が上がったことにより、手紙やらメールやらプレゼントやら面会希望者やら……そういうのが鬱陶しくなり、こうして逃げ出してきた訳だ。
ラルやアンリも最初はそんなシーマに対して不満げだったんだが……シーマの部屋にある大量のファンレター……一部はラブレターを見れば、シーマの意見を受け入れない訳にはいかなかったらしい。
ルナ・ジオンにて有名なのは、女王にしてジオン・ズム・ダイクンの血を引くセイラ、青い巨星ランバ・ラル、黒い三連星のガイア、オルテガ、マッシュといったところだが……異名持ちではないというのに、シーマはそんな中に入ってしまった。
いや、自然発生的に異名がついたと言ってもいい。
その異名は『宇宙の蜉蝣』というもの。
蜉蝣というのは、トンボに似ている――分類的には違うのだが――虫で、成虫になってからの寿命は1日と言われている。
何で今のシーマにそんな異名が付くのかは疑問に思ってちょっと調べてみたのだが、その辺は諸説あって正確には分からなかった。
ジオン軍時代が想像の中だけでも短い1日であって欲しいとか、もしくはルナ・ジオンに所属している今の輝いている一瞬をいつまでも維持して欲しいという逆説的なところからとか、MSの操縦にそういうイメージが思い浮かんだとか。
一番最後のは明らかにルナ・ジオン軍の関係者なような気もするが、ともあれシーマはその実力も十分なので、その異名を正式なものとして宇宙の蜉蝣シーマ・ガラハウとなった訳だ。
「まぁ、ジオン軍にしてみれば、今回のコンペは自分達の実力を見せつけるという意味も含めたものだろうしな」
R型とヅダ
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