MR編
百五十七話 談笑響く迷宮
[7/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「うん!ボク、アスカでは侍やってたんだよ!」
「侍ねぇ」
その頃を思い出すかのように、彼女は両手で構えた剣を振る動作をして見せる。成程、その少女侍こそが、現在の絶剣ユウキの原型になったのだろう。しかし和風テイストのゲームとなると……
「なぁ……アスカにも薙刀あったか?」
「あったあった!あ、ねぇ、そう言えばリョウってなんで薙刀使ってるの?」
「そうかやっぱあるのか……ん?何でって?」
「前に姉ちゃんが言ってたんだよ、薙刀は女の人の武器だったって、それにリョウの筋力なら、大剣とか使う人が多いじゃない?」
「あぁ……まぁ別にその手の武器が嫌いって訳じゃねぇがな……」
肩をすくめて、リョウは斬馬刀を取り出す、何故か大剣ではなく薙刀にカテゴリされたそれは、ALOを始めてから此方、リョウの「普段の」相棒として多くのMobを屠ってきた。
「まぁ、早い話使いやすかったんだよな……俺はなんつーか、昔から剣の類が苦手でよ、ガキの頃俺の爺さんに剣道やれっつわれたときも続いたのひと月かそこらだったし、まぁ合わねぇんだよな多分」
「それで、薙刀?」
「あぁ、SAOで元々槍が使いやすかったんで使ってて……そん中でも突くより薙いだり払ったりってスキル使いまくってたらたまたま薙刀スキルが出て……これが思いの外すげぇ使いやすくてよ……」
気が付くと、2人は戦闘や武器の扱いから、これまで行った世界の話まで、色々な事を取り止めも無く延々と話し込んでいた。つい先日まで自分達がお互いに対して感じていた後ろめたさの事は、そんな会話の中でどこかへと消えていた。
「さて……よーやくか」
「うん、多分此処がボス部屋……だよね」
そうして、2人は狭い通路を抜ける。たどり着いたその場所は先ほどの部屋に似て天井が高く、部屋の奥には見慣れた大きさの門がある。
アインクラッドのフロアボスが待ち構えるその部屋の入り口に酷似したその扉には、三つの宝玉がはめ込まれており、リョウたちが部屋の中ほどまでやってくるとそのうち一つがぼんやりと紅く光を放った。
「あれって……」
「ふん……多分あれだろ、部屋の入り口は三つあって、入り口にたどり着いた分だけあれが光る」
「じゃあ三つ光ったら……」
「他の連中も別の入り口にたどり着いたってこったな」
そう言っている間に、ほどなく他の二つの宝玉にもぼんやりと光が灯る。途端、門が重々しい石の擦れる音を響かせながら、土埃と共に開き始めた。
「揃ったらしいな」
「うん……他の人ルートが死に戻りして一人もいなくなってたらどうなってたんだろ?」
「さぁな?ま、多分全員無事だろ。そう言う連中だ」
「えへへ……うんっ、そうだね!!」
嬉しそうに頬を緩めて、ユウキは腰から黒い剣を抜き放つ。リョウはくわえていた煙棒を投げ捨て、踏みつけ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ