92話:経過
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政府機関が担当してくれますし、彼らもここに至っては身内とは言え、かばいだてするようなことは無いでしょう。もう少しでこの任務も終わることになります」
私がそう言うとラインハルト様は『そうだな。もうひと踏ん張りするか』とお答えになり、資料に意識を向けられた。少しは気を紛わせられていればよいのだが......。
宇宙歴795年 帝国歴486年 1月上旬
フェザーン自治領 自治領主公邸
ルパート・ケッセルリンク
「補佐官、それでブラウンシュヴァイク公爵家の一門のはねっかえり達の反応はどうだった?」
「功名心だけでなく、恐怖心も加わりました。ブラウンシュヴァイク公爵家だけでなくリッテンハイム侯爵家の一門も同様です。それに『フェザーンの権益が奪われている』という話にも真実味が増しました。水面下の動きは加速するかと。『公爵家のお取り潰し』に『軍部系貴族の邸宅への護衛の配置』、かなりの援護射撃を頂きました。それに政府系も軍部に功績を取られ、面目も潰されております。思った以上に燃え広がるやもしれません」
「それで良い。大掃除は一度で良いだろうからな。それに決起させるには群れを大きくしなければ最後の一歩が踏み出せないだろう。戦場では正面を見据えねばならんのに、横ばかり気にする方々だ。精々お仲間を増やしてやればよい。多ければ多いほど、帝国が『血統主義』から『実力主義』に塗り替わる為の肥やしになるだろう」
「今の所は証拠は残しておりませんが、最後の一歩を踏み出させる為にも軍需物資を始め、色々と用立てる必要もございます。叛乱を支援した事は明確になると存じますが、その辺りは考慮しなくても宜しいのでしょうか?」
「かまわん。そもそも『煽れ』とのご依頼なのだ。どうせなら特大の火事を起こせばよい。もうこのような火遊びは二度と出来ないだろうからな。精々楽しむことだ」
大丈夫なのだろうか?いくらリューデリッツ伯の依頼だったとはいえ、帝室に弓引くような事を煽るようなことすれば、火遊びが鎮火したあとに『生まれ』位しか誇る者が無い連中と一緒に、ゴミ箱に放り込まれる可能性もあると思うが......。
「補佐官、君が心配している事は分かっているつもりだ。だが、私は既にべットを終えている。この歳になってまで『保育園の保育士役』をするのは気が進まんし、彼らの御しがたさは重々承知している。彼らに自分の将来を託すなど破滅と同義だ。もっとも君の将来をべットするかは自分で判断すればよい。交渉相手としては楽な連中だが、同じ陣営に所属すれば、予想の斜め上の事をしでかして、勝算のある勝負ですら潰しかねない連中だがな」
この男がすべてを失って絶望する所を見たい気もするが、そのために俺の人生まで賭ける気はない。それに帝国軍は人材面でも団結の面でも過去に例がない
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