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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
92話:経過
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るとなれば、ため息のひとつもつきたくなるだろう。そして、ラインハルト様が正論をお話になるからこそ、私は一歩引いて周囲を考えられることも理解していた。

「惑星ケーニッヒグラーツはディートリンデ皇女のお化粧料となりましたし、すでに復興計画が稼働しております。数年もすれば見違えるようになりましょう。ラインハルト様の提案された開発案も採用されるとのことですし、いつか訪れてみるのも宜しいのではないでしょうか?」

「そうだな。だがキルヒアイス、俺が出した案は伯の根回しがあって初めて出来た事だ。提案自体は良いものだと思ったが、実現するために必要になる事まで思い至らなかった。採用されたのは嬉しかったが、まだまだ俺にも甘い所があるようだ」

ラインハルト様は『皇女殿下のお化粧料』になるという事を踏まえて、現在は惑星ルントシュテットのみで醸造されている『レオ』を含めた酒造を、新規事業として立ち上げる事を提案された。領地の開発に意識が向けられなかったからこそ、自然が残っているのできれいな水がある。教育を進めるにはかなりの時間が必要な以上、それなりの期間は農業が主産業であり続ける中で、帝都に近い事も考えれば酒造は有力な事業だった。
ただ、皇室の専売事業であるし生産はルントシュテット伯爵家が独占されていた。リューデリッツ伯の根回しがなければ実現できなかっただろうし、ビールはともかくウイスキーは伯が開発予算を出すから始められる事業だ。皇女殿下の領地産ともなれば廉価品はつくれない。おそらく15年から20年は収益化が難しいだろう。そしてラインハルト様は嫌がるだろうが、伯はラインハルト様に実績を付けさせるためにこの事業を推し進めた所があるはずだ。こういう配慮はされた本人が気づかない様にされるのが伯の流儀だが、アンネローゼ様にはご報告した方が良いだろう。

「ラインハルト様の提案の成果として、新しい事業が立ち上がり、それでうるおう臣民が確実にいるのです。まずはそれをお喜びになられても宜しいかと......」

「そうだな、キルヒアイス。惑星ケーニッヒグラーツから将来、帝国を支えてくれる人材が生まれてくるかもしれないと思うと、確かに意味のあることかもしれないな。装甲擲弾兵の訓練施設も作るそうだし、いつか視察を含めて訪れてみるのも確かに良いだろう。それでは押収資料の精査にもどるとするか。重犯罪はあらかた完了したからあとは軽犯罪だな。もっとも賄賂の金額はかなりのものだし、回数もかなりのものだ。懲戒処分ではこちらも済まないだろうがな......」

そう言いながら、少し顔をしかめられる。また子爵にため息をつかれる事を想像したのだろうか?だが、軍法会議なら銃殺刑に相当するような容疑者も含まれている。手を抜くわけには行かないだろう。

「お茶を入れなおしましょう。裏取りは
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