第十二話 作戦名は『鉄槌』だ!
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攻用の兵器では有りません。オーディンの傍で反乱が起きたからと言って慌てる事は無い。それにハードウェアに頼った反乱というのはハードウェアが無力化されればあっという間に腰が砕けます」
「それは分かりますが……」
アルテミスの首飾りを軽視しすぎじゃない? そう思ったら中将が微かに笑みを浮かべた。
「少佐は私がアルテミスの首飾りを軽視していると不満の様ですね」
「そんな事は……」
「軽視していませんよ。あれの利点と欠点は十分に理解しています。反乱軍はあれを難攻不落と言っているようですが余り役に立つとは思えません」
「それは如何いう意味でしょう?」
ちょっと不満、そう思ったら中将が声を上げて笑った。
「分かりませんか? 自由惑星同盟はハイネセンだけじゃないという事です。アルテミスの首飾りはハイネセンは守れても他の有人惑星は守れない。他の星が降伏してしまえばハイネセンだけが残る事になります。それで自由惑星同盟と言えますか?」
「……」
確かにそうだ。自由惑星同盟でもハイネセンだけ守って他の星は見殺しかという非難が有った。特にイゼルローン方面に近い有人惑星でその非難は強い。中将がまた決裁作業に戻った。
「あれはどちらかと言えば帝国貴族向けの防御兵器ですね」
「帝国貴族向け、ですか」
「ええ、有人惑星を一つか二つ持っている。その惑星を守る為に使う。特に反乱を起こした貴族にはおあつらえ向きの兵器です」
確かにそうかもしれない。
「ま、心配は要りません。直ぐに鎮圧されます」
「……」
多分、あのレポートだ。
先日、エーレンベルク軍務尚書閣下から中将にTV電話が有った。私が出たんだけど軍務尚書閣下は顔面蒼白で眼が血走っていた。声も掠れていた。多分あれにアルテミスの首飾りの攻略法を書いて提出したのだろう。という事は中将はカストロプ公の反乱を想定していた、そしてアルテミスの首飾りが配備される事も想定していたって事かしら。……そんな事有るの?
「如何かしましたか?」
中将が私を見ていた。
「いえ、その、……閣下はこの事態を想定しておられたのですか?」
中将が微笑んだ。その微笑みが怖い。
「カストロプ公が反乱に追い込まれるという事は想定していました」
追い込まれる? つまり帝国政府はカストロプ公爵家を潰そうとしている……。中将が“評判が悪いですからね”と言って含み笑いを漏らした。
「ア、 アルテミスの首飾りは」
「カストロプ公が反乱に追い込まれると想定した者、それを利用出来ると考えた者がカストロプ公に与えたという事です」
中将はそれも想定していた。顔が強張るのが分かった。喉がカラカラに干上がる。
「そ、それは」
中将は笑みを浮かべ続けている。如何して笑えるの……。
「帝国の勢力を弱め自由惑星同盟との勢
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