第十二話 作戦名は『鉄槌』だ!
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い」
「御願い出来ましょうか? こちらも情報部、憲兵隊を動かします」
「分かった、準備を頼むぞ」
三人が頷いた。ただの反乱鎮圧だと思ったがとんでもない大作戦になるかもしれん。
「卿らはカストロプの事をヴァレンシュタインに教えたのか?」
「いえ、教えておりませぬ」
「ではそのレポートはあの男が自らの判断で作ったという事か」
「そのように思われます」
三長官の表情が渋い。以前から思ったのだが鋭い、いや鋭すぎる。それに視野が広い。帝国だけではない、フェザーン、反乱軍の事も考慮した上で判断している。だから我らが思いつかぬ事を想定しているのだろう。頼りにはなる、だが扱いが難しい。
「そのレポートは決して表に出してはならんぞ」
「分かっております」
「それとヴァレンシュタインだ。最近馬鹿共があれを敵視していると聞く。必ず守れ。帝国にはあの男が必要だ」
「はっ」
三長官が畏まるのを見届けてから部屋を出た。
扱いが難しいのだ。あの男が軍中央においてそれなりの立場を得ているのなら良い。その地位に相応しい才を持っていると評価出来るだろう。だが現状はそうではない、士官学校の校長という閑職に居る。にも拘らず帝国はあの男の才を必要としている。そこに矛盾がある。その矛盾が周囲との軋轢を生む……。
それにしても我らがカストロプを反乱に追い込むと読んだか。内政重視の政策をとるなら当然有り得ると見たのであろう。いや、あのレポートはそれを考えていないならそこまでやれという示唆かもしれぬ。そしてそこまでやる覚悟をしているならフェザーンの動きも当然押さえているのかという問い掛けだな。いや、叱責か。なるほど、私も出来の悪い生徒と見られたか。……何とも腹立たしい事よ、血圧が……。
帝国暦487年 10月 28日 オーディン 士官学校 ヴァレリー・リン・フィッツシモンズ
「閣下、カストロプで反乱が起きたそうです」
「そのようですね」
中将は校長室でいつもと変わらない表情で決裁作業をしている。可愛くない。何でそんなに平静でいられるの? カストロプよ、カストロプ。オーディンの直ぐ側で反乱が起きたの。皆大騒ぎなのに中将だけが昨日と変わらない。何で? そう思うのは私だけじゃないと思う。
「正規艦隊が出るのでしょうか?」
「それはないでしょう。正規艦隊は本来イゼルローン要塞の向こう側で使うべきものです。地方貴族の反乱なら正規艦隊は出しません。余程多くの兵力を持つ大貴族が反乱を起こしたなら有り得ますがカストロプはそれ程多くの兵力を持っているわけでありませんからね」
決裁しながら答えてくれた。余り関心が無いみたいだ。
「ですがアルテミスの首飾りが配備されていると聞きました」
「アルテミスの首飾りは防御兵器であって攻撃侵
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