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永遠の謎
406部分:第二十五話 花咲く命その二十二

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第二十五話 花咲く命その二十二

「あの方は。実は」
「女性である」
「そうだと言われますか」
「そうだと」
「私の気のせいでしょうか」
 確信はなかった。言葉は疑問系にもなる。
「そこまで思うのは」
「そうですね。それは」
「少し違うのでは」
「あの方はローエングリンに相応しい方です」
 またしてもだ。外見から話されることだった。
「実際にローエングリンの姿になられることもありますが」
「ハインリヒ王にも」
 それならばだというのだ。
「白銀の姿も似合われます」
「まさにローエングリンというお姿ですが」
「それでもですか」
「はい、思うのです」
 王はエルザだと。女性だと。
「不思議なことに」
「ではです」
「それならばですが」
 若しそうならばと。ここで言う彼等だった。
「女性は女性とは結婚できません」
「それは決して」
「そうです。あの方が女性であれば」
 どうなるか。それは。
「あの方はローエングリンと結ばれるべきなのですが」
「現実にはいない相手とですか?」
「まさかそれは」
「できるのでしょうか」
「そんなことが」
「この世では適わないことです」
 また話す彼女だった。
「そうです。この世では」
「では神の御前で、でしょうか」
「それが適うのは」
「若しあの方が女性ならば」
「そうであったならば」
「そうではないでしょうか」
 ゾフィーは確信のないまま話していく。そうしてだった。
 その不可思議なものを思い、見ているのだった。
 そこに憂いが加わりだ。彼女は首を小さく横に振った。
 そのうえで。また王のことを話した。
「あの方は王であるべきですが」
「あれだけ見事な王はおられません」
「まさに王に相応しい方です」
「そう思います」
「そうです。ですが玉座はこの世にあるだけではありません」
 この世だけを見て語る、ゾフィーは今はそれはしなかった。

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