純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 11
[6/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
)」自身が無自覚なままプリシラのお仕置き(お遊び)を助長してしまう。
「(……どのような方なのですか?)」
できれば「彼ら」には「庇護対象」であってほしい。震える手で慎重に鱗片を剥きながら、そう願わずにはいられない。
「(三十代後半の、公私共々真面目で品行方正な男。職務に関しては残酷なほど冷徹だが、普段は機知に富んだ好青年だ)」
「(問題は無さそうに思えますが……何か、引っ掛かりが有るんですね?)」
「(ああ。決定的な言動は見せてないが……十中八九、さっきから其処でちょろちょろ動き回ってるミートリッテに惚れてる)」
私の手から百合根が零れ落ちた。
「(……なんという……)」
頭を抱えそうになった両手を膝の上でぐっと握り締めて、ローテーブルの上をころころと転がって行く白い塊を虚ろな目で見つめる。
状況は、絶望的だ。
色恋沙汰なんて周囲への影響過多な移ろいやすい物、プリシラにとっては極上のおつまみではないか……っ!!
「(しかも、アレのほうが重症だ。三人共が小綺麗すぎる独身って点も痛い)」
まさか、彼を含む三角形!?
「(「生贄」回避不可じゃないですか!)」
「(言ったろ? 職務に関しては残酷なほど冷徹だって。アレへの忠誠心と立場への矜持は本物なんだよ。ソコをプリシラがどう評価するかが鍵になると思うんだよな)」
ホレ、サボってると見られたら厄介だぞと、転がった鱗茎を手渡される。
剥きかけの鱗片に指を掛け、浅い溜め息を吐き出すと同時にぺりっと剥がす。
実際の所、プリシラが相手の何を見て、どう評価し、裁定しているのか、詳しい内情は誰にも判っていない。判定を下された人間の共通点から、多分こうだろうと当たりを付けているだけだ。
殿下の推測など、希望と呼ぶにはあまりにも淡く儚い。
だが。
「(縋るしか、ありませんね)」
アルスエルナ王国に数多居る「生贄」達の為にも。
「(…………そうだな)」
どうか、これ以上プリシラが暴走しませんように。
私と殿下は呼吸を揃えて、笊の中に鱗片を落とした。
「「……???」」
女性陣の不思議そうな目線に晒されながら。
vol.17 【真相】
トントンと、廊下と繋がる扉を叩く音が二回聴こえた。どうやらお客様が到着したらしい。
ミートリッテは最後の荷物を大量に積み上がった箱の上に重ね置きして、壁に掛かっているカーテンを静かに閉じた。
これで、室内探検でもされない限り執務室同士を繋ぐ隠し扉が見付かる心配は無い。
既に廊下と繋がる扉の手前で待ち構えていたプリシラと目線を重ねて頷き合い、プリシラが返事をして扉を開く。
相手は、次期大司教のプリシラであっても敬意を
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ